Blu-rayシングル『サヨナラは雪のあとで』インタビュー
超特急が語る、『サヨナラは雪のあとで』の“温故知新”な表現と春ツアーへの意気込み
唯一無二の個性派ダンス&ボーカルグループとして注目を集める超特急が、Blu-rayシングル『サヨナラは雪のあとで』を1月22日にリリース。80~90年代に一世を風靡したシティポップを現代によみがえらせたようなサウンドや、主演に“トレンディ御三家”の吉田栄作を迎えたトレンディドラマ風のMVなど、超特急流の“温故知新”的なアイデアが詰まった意欲作となっている。この新曲についてはもちろん、先ごろ大盛況のうちに終了した年末年始ツアー『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2019-2020「Revolución viva」』、さらに6月にスタートする春ツアー『ARENA TOUR 2020 SPRING WELCOME TO THE BULLET TRAIN DINER』についてもメンバーに語ってもらった。(古知屋ジュン)
この曲をきっかけに、より8号車の輪を広げられたら(リョウガ)
ーーまずは初めての試みが詰まった「サヨナラは雪のあとで」(以下、サヨ雪)についてうかがいたいです。スポットCMも流れて話題になっていますが、80~90年代に流行ったシティポップのサウンドとトレンディドラマを超特急流に再現するというユニークな企画ですね。最初にそのプランを聞かれたとき、率直にどう思いましたか?
カイ:今、日本はもちろん海外でもシティポップ人気が再燃しているというのは知っていました。でも、自分たちがやるというのはさすがに「どういう……ことだ……?」って(笑)。
リョウガ:でも“時代は回る”とよく言うじゃないですか。僕は80~90年代のトレンディなあれこれが2020年代に差し掛かったこの時期に一世を風靡する流れを、超特急が先取りしちゃうんじゃないか? というワクワクドキドキを感じました。
ーータカシさんは昨年のソロライブ『Utautai』でもその年代の楽曲をカバーされていたり、もともとお好きなジャンルかと思いますが。
タカシ:今回の企画は素直に嬉しかったです。僕は親の影響もあってシティポップはもちろん、昔のドラマや楽曲がすごく好きなので、その時代にタイムスリップできたような気がして楽しかったですね。
ーーダンサーのみなさんは、曲を聴かれた第一印象はいかがでした?
カイ:僕は放送当時のトレンディドラマや主題歌はあまり知らないですけど、再放送やバラエティの企画で流れているのはよく聴いていたので「サヨ雪」は意外と耳馴染みがよかったです。
リョウガ:実際に当時の曲を聴いたことがあるわけではないのに、どこか懐かしいような気がしましたね。それこそ80~90年代に濃い想いがある方々には非常に馴染む一曲なんじゃないかと思います。なのでこの曲をきっかけに、より8号車の輪を広げられたらなと思いました。
タクヤ:僕もすごく好きな曲調で。シンプルな構成とストレートな歌詞がとても聴きやすいし、ライブで披露するのが楽しみになりましたね。
ユーキ:MVのイメージもあって、恋人同士の姿が思い浮かんだんですよ。どちらかというと男目線で純愛を描いている感じの曲なのかな? という風に捉えていました。
ーーなるほど。音源を聴いて、タカシさんの歌声がさらに大人っぽく包容力を増したように感じました。歌い回しを含めて、どんなイメージを思い描いていましたか?
タカシ:この曲ではとにかく拍にとらわれず、ゆったり歌うことを意識しました。昔の楽曲はルーズに歌うほうがかっこいいなという個人的なイメージがあるのと、今まで聴いてきたいろんな80’s~90’sのアーティストの方々の歌い方を僕なりに研究した結果を、レコーディングに反映させることができたと思います。
ーー歌詞の中に登場する2人は“友達以上恋人未満”のように見えますが、この2人の関係についてみなさんはどのように考察されていますか?
カイ:僕個人としては、見方によっていろいろな関係性に見える2人だなと。友達以上恋人未満にも見えますけど、別れてしまったカップルが過去を回想しているのかもしれないな、とも思ったり。実は時系列が想像とはズレていて、幸せな時間から別れへとカウントダウンしていくようにも見える。だから、観る人のその時の感情によって、いろいろな形で捉えることができるんじゃないかと。
タクヤ:僕も、主人公が過去の出来事を振り返っているのかなと思いました。全然違うのかもしれないですが(笑)。
ユーキ:お互いにすごく気があるけど、女の子は男からの言葉を待っていて、男はそれが恋だということに素直になれなくて、告白になかなか踏み切れずにいる……みたいな。でもある日覚悟を決めて女の子の元に行く日の様子を描いたのかな? というイメージです。
タカシ:MVでは女の子が編みかけの手袋をクッションの下に隠したり、ポケベルで呼び出されてどこかに電話していたりする描写もありましたよね。実は彼女には他にも心を寄せている男の人がいて、でも主人公の方が好きなのか迷っていたのかな? と僕は感じました。だけど最終的には主人公の告白があって、両想いということに気が付いてハッピーエンド……という感じが、観ていて幸せな気分になれるなあと。
リョウガ:僕的な考察としてはですね、もうこの女性はこの世界にはいないんです。本当はお互いに近づきたかったのに、先が長くないとわかっている女性はそれを断り、男性はそれを聞いたのに納得できなくて「あの時、短い時間でも友達以上になっておけば……」と悔やんだり。まぁ僕のこの妄想は重すぎですが、カイが言ったように人によってさまざまなストーリー考察ができる素敵な歌詞をいただいたと思います。どうか2人がハッピーエンドを迎えられる考察を、誰か考えてください!
ーー確かに、8号車のみなさんの中でもいろんな解釈があるのではと思います。MVはメンバーのみなさんがそれぞれ一瞬しかフィーチャーされないという斬新さでしたが、撮影で特に記憶に残っているエピソードがありましたら……。
カイ:僕と一緒だったノエルさん(ワンちゃん)があまりにも可愛すぎて、連れて帰りたくなりましたね(笑)。全然吠えないしおとなしくて、ホントに可愛くてたまらなかった!
リョウガ:僕は喫茶店でゲームボーイをひたすらにプレイしているという役だったのですが、僕が5歳くらいの時に祖父の持っていたゲームボーイでよく遊んでいたので、その時の思い出が蘇ったりして。それも含めてとても感慨深い撮影でした。
タクヤ:リョウガが遊んでたゲームボーイ、僕も気になってた。あとポケベルは実際に使ってみたかったですね~。
ユーキ:“定食屋のお調子者”という設定だったんですけど、実際に現場に行ってみたら定食屋さんというよりもお洒落なカフェ感が強くて驚きました(笑)。でもその後の吉田栄作さんとお相手の女性の方との熱い抱擁シーンが素晴らしかったんですよ。男らしさも感じたし、女子目線でも胸がキュンとするような。
ーーカイさんが“証券会社勤務のラガーマン”、リョウガさんが“オタク公務員”、タクヤさんが“女を泣かすバーテンダー”、タカシさんが“金持ちの研修医”、という設定だったんですよね。それにしてもタカシさんの登場シーンは難易度高かったと思います。
タカシ:僕も完成したMVを観たときに「僕、出てなくても大丈夫ちゃう?」と改めて思いました(笑)。でも、かつて山下達郎さんの「クリスマス・イブ」が流れるJR東海のCMに達郎さんが実際にカメオ出演していた……みたいな、スペシャルなオマージュができたんじゃないでしょうか。僕的には吉田栄作さんと同じ画角に入れたのが一番の思い出です。
ーージャケットの撮影では、当時流行っていたリーゼント風のヘアスタイルや肩パッド入りのスーツを体験されて。ファッションリーダーのカイさん、タクヤさんはあのヘアメイク&スタイリングをどう見ていたんですか?
カイ:リバイバルで今でもああいうヘアスタイルを楽しんでいる人もいますし、ファッションもそこまで古い感じもせず、むしろかっこいいなと。
タクヤ:僕も普段から80年代アイテムは好んで着ているので、特に違和感もなく普通に撮影を楽しんでいましたね。