超特急、2020年幕開けのライブで見せた新たな魅力 『Revolución viva』ツアー東京公演

超特急、2020年幕開けライブで見せた魅力

 1月3日から5日にかけて、年またぎ東西アリーナツアーの東京公演『Revolución viva ~Shine Bright New Year~』を国立代々木第一体育館にて開催した超特急。2019年暮れにはクリスマスムードたっぷりのツアー大阪公演『Revolución viva ~Pastel Shades Christmas~』(2019年12月21・22日)、結成8周年を記念し人気キャラクターたちと歌い踊った『BULLET TRAIN 8th Anniversary Special Live at UNIVERSAL STUDIOS JAPAN』(同12月25日)と、まったくコンセプトの異なるライブを行った彼ら。この新春公演について直近のインタビューでは「超特急の新たな魅力を(ファンである)8号車に見せたい」と語っていたが、2020年仕様にアップデートされた“超特急流エンタメ”をどのように見せてくれるのだろうか。本稿では1月4日のライブについて雑感を述べたい。

 グループ名が大きく筆書きされた幕が落とされると、巨大な鳥居型のイルミネーションや干支のネズミたちが鎮座するセットが登場。初詣気分を盛り上げるSE「Overture」(2020和Ver)ののち、三味線や琴などの音色で雅にアレンジされた「SAY NO」(和Ver)がスタートした。火花の特効も炸裂し、正月らしい賑々しさだ。同曲では休養中のユースケが鬼軍曹役で他メンバーに絡んでいく小芝居パートがあるのだが、この日はタクヤにしなだれかかりつつ、メンバー中ユーキだけを飛ばして絡んでいく鬼軍曹代理のタカシに笑いが起こる。曲中でスクリーン画面が5分割になり、1人ずつのキメ顔をしっかり捉えていたのはサービス精神を感じられる演出だった。今回のツアーでは大阪公演の衣装をカイが、東京公演の衣装をタクヤが全面プロデュース。このオープニングの衣装は鮮やかなメンバーカラーのセットアップに光沢のある和柄の生地があしらわれ、新春らしさに華を添えていた。

 続けて、タクヤ出演の映画『どすこい!すけひら』主題歌「Don't Stop 恋」(最新シングル『Revival Love』収録)をドロップ。この曲では組曲風でアップダウンの激しいサウンドに合わせ、ボーカルを多重人格ばりに変化させていくタカシの表現力が光る。また“コマネチ”や“あるある探検隊”といったお笑いネタのポージングを多数散りばめた振付もさることながら、同曲センターのタクヤのコミカル~シリアスな表情の七変化には惹きつけられるものがあった。今回のツアーではタクヤを筆頭に従来の振りをよりしなやかに表現するなど、それぞれのパフォーマンス面の進化にも目を見張る瞬間があったように思う。

 「Burn!」からは、このアリーナツアーの切り札の一つでもあるムービングステージを使い、アリーナ後方やスタンド席の8号車とも熱気を共有していく。落ちサビ部分では、タカシの「歌って!」の声に導かれるように8号車が大合唱。勢いのある楽曲を詰め込んだ序盤ブロックの中でも初期の定番楽曲「Secret Express」ではメインダンサーが1人ずつ歌にも参加し、ユーキの「行くぞーーー!!!」のシャウトの勢いに押されるように、会場が一気にヒートアップした。さらに久々の披露となる「PAPAPAPA JUMPERS」では、メンバーがトロッコでも場内を練り歩き、歌詞の〈距離も時間も超えて キミのもとまで〉の世界観を体現。センターステージで前後左右に向かってのパフォーマンスにも、全方位の観客を楽しませようとする心意気を感じた。最新シングルのタイトル曲「Revival Love」では正面ステージに戻り、キャッチーな振りと歌詞に合わせて演じるようなメンバーの表情までをセットにして楽しませていく。

 そして、おなじみのベース音を強調したサウンドや〈ガッタンゴットン〉のコールにも懐かしさを感じるデビュー曲「TRAIN」へ。同曲ではムービングステージを使わず、シンクロ感のあるメインダンサーたちの振りや伸びやかなフェイクを多用するタカシの歌声でストレートに“2020年の超特急”を見せていく。

 メンバーがいったんはけると、鬱蒼とした林からとある城へとスクリーンの映像が移り変わっていく。スモークの煙る中、グレーのオールインワン姿で現れた5人。彼らを迎え撃つのは、赤の衣をまとった総勢20名の“敵軍”ダンサーズ。これまでに『愛す。in Wonder Land』(2016年)などで殺陣を披露したことはあったが、ここからの「S.B.N Japanese Battle」では正面ステージの1・2階、センターステージ、左右に伸びた花道と、各所でスケールアップした戦いを展開していく。

 持ち前の身体能力の高さで戦いをリードしていったのはユーキだ。流れるような刀さばきを披露しつつも素手で相手をなぎ倒したり、2階ステージから1階にジャンプをキメるなど、スリリングに魅せていく。和傘で敵軍を翻弄する“稜海”コンビ、センターステージで背中合わせになり勇猛果敢に敵軍に向かっていく“草村”コンビにも歓声が上がる。カイが薙刀でエネルギッシュに、リョウガが鉄扇で雅に、タクヤが二刀流で鮮やかに……とそれぞれの個性を反映したような武器で戦い、タカシが敵軍とユニゾンで舞うような一騎打ちもお見事だった。多勢の敵軍に善戦するも、斬られてしまう5人。しかし死力を尽くして反撃し、最終的には会場の8号車たちを守りきる。

 ここから和風のSE? かと思いきや、和楽器の音色を散りばめ大胆にアレンジされた「Kura☆Kura」(和Ver)に突入。各メンバーの表情にも殺陣の熱気が残る中、敵軍ダンサーズを従え迫力のパフォーマンスを見せていく。そこからフル披露は久しぶりとなるR&Bナンバー「Full moon」へ。この辺りからは“大人超特急”的な世界へと8号車たちを誘っていく。メンバーが2人ずつ組んで腰を揺らす振付など、なんともセクシーなムードをまとう同曲に悲鳴が上がるが、続く「Body Rock」(最新シングル『Revival Love 』収録)でも“爆弾”を投下してきた。小道具の椅子を女性に見立てたような動きや、その椅子を床に倒すなど、しなやかな動きで魅せていく。ダンスリーダーのユーキを筆頭に、カイやリョウガがフロア技を含む振りをなまめかしく踊りこなす様子がスクリーンにも映し出され、思わず息をのむ。タカシのソフトな歌声が映えるファルセットを多用した同曲は全英語詞だが、ストレートな言葉選びなども含めこの曲が“大人超特急”ブロックのハイライトといっても過言ではなかっただろう。

 メンバーによる書き初め映像を挟み、「オリンピックを意識してスポーツMIXをテーマにした」(タクヤ)というクレイジーカラーの衣装で登場したメンバー。ここでスタートしたのがこの東京公演のテーマ曲「On & On」だ。アリーナロック的なスケール感のあるサウンドと、ハンドクラップなどが盛り込まれた振付でも力強く8号車を魅了した同曲。続く「Hey Hey Hey」ではトロッコで会場全体を駆け巡り、さらに盛り上げていく。後方ステージにはマイクスタンドが用意されており、ここでシックな「STYLE」を披露。途中、全員がマイクスタンドを蹴って1回転させる振りでも会場を沸かせた。

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