Re:vale、絶対王者であり続ける理由は? 正反対の2人が織りなす至高のエンターテインメント

 表題曲「Re-raise」のMVには、トップアイドルとしてのRe:valeの魅力があちこちに散りばめられている。ギターを携えながら歌う千の傍で、ショーマンとしての実力を示しながら華やかに踊る百。大規模なプロジェクションマッピング、話題の新駅を全面に使ったステージ、ホーンセクションを加えたバンドや多勢のバックダンサーを従えても、彼らにとって舞台が大きすぎることはない。所々に見せるチャーミングな表情、肩を組み合って笑う姿もファンには嬉しいシーンだろう。

アイドリッシュセブン『Re-raise/Re:vale』MV FULL

 激しいアクションに挑んだ「NO DOUBT」のMVでもそうであったように、たった2人のRe:valeがスケールの大きさに負けることなく自分たちのカラーを発揮する映像は、あらゆる人を魅了する。

アイドリッシュセブン『NO DOUBT/Re:vale』MV FULL

 そんなエンターテイナーとして卓越した表現力を見せるRe:valeだが、音楽的な充実度も増すばかりだ。ファンにはおなじみの「SILVER SKY」や「NO DOUBT」、いきものがかり水野良樹提供でも話題になった「激情」など、歌謡曲的な切なさを伴うロックはRe:valeの得意とするところ。

 「TO MY DEAREST」のようなラブバラードでキラキラとした時間を提供することもできるし、今回のシングルに収録されている「永遠性理論」のようなド直球なジャパニーズポップスも彼らの世界観を崩すことはない。「t(w)o...」のように感動的なメロディを歌い上げても、やはりRe:valeはRe:valeだ。ジャズを取り入れたトリッキーで大人っぽい「Re-raise」もRe:valeの新しい一面であるものの、“彼ららしさ”は薄れることがない。

 千のボーカルだけでも、百のボーカルだけでもこの世界観は描けない。冒頭でも述べたとおり、2人がお互いの不足を補い、魅力を引き立て合うことで生まれる、運命的なアートなのだ。それは今回のシングルにおいても、「Re-raise」の最後のフレーズの掛け合いや、「永遠性理論」で効果的に使われるハモりなど、要所要所ではっきりと実感することができる。

 これほどまで自身の独自性と豊かな引き出しを持ったRe:valeが、今後どのような楽曲を聴かせてくれるのか? 2人の絆が、どんな音楽を作り出すのか? 何一つ想像がつかないが、それは誰もが愛さずにはいられない最高の音楽であることは間違いないだろう。なぜならRe:valeの音楽には、愛情が溢れているからだ。お互いへの信頼、溢れ出る音楽への愛情、もちろんファンへの惜しみない愛や仲間やライバルへの親愛……。リスナーである我々は、そんな彼らの愛に応えないわけにはいかない。今回のシングルは、それを確信させてくれる1枚なのである。

 トップアイドルである彼らは、どこまで走り続けるのか。どれほどの場所まで到達するのか。そこにはたくさんの障壁もあるだろうし、数多のライバルたちがひしめいている。だが、常に彼らは私たちを幸せにすることに、真摯でいてくれる。そういうRe:valeだからこそ、私たちは2人をいつまでも見ていたいと思うのだ。

■草野英絵
ライター。アニメ、ゲームなどのエンタメ記事を中心に雑誌・WEBで活動中
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