くじら「ねむるまち」Spotifyバイラルチャート急上昇 新世代ボカロPの詞曲に共通する“諦念”のムード
今回のチャートインは、YouTubeの回転によるリスナー・フォロワーの上昇と、年末年始から立て続けに投稿されている「歌ってみた動画」のような二次創作が大きいと推察される。先述したYouTubeのレコメンドにせよ、二次創作にせよ、クリエイターが良い楽曲をポストすれば、それに追随してSNSとそのユーザーが楽曲を押し上げていく、というのは、ある意味で健全な動きといえるだろう。
最後に、先週のYOASOBIや、その記事で言及したヨルシカやずっと真夜中でいいのに。、花譜などを支える、2010年代の動画投稿サイトシーンを出自とし、2020年代前半で本格的にオーバーグラウンドしてくるであろう世代のクリエイターたちーーn-buna、カンザキイオリ、Ayase、ぬゆり、そして今回ピックアップしたくじらなどには、共通するものを感じる。
アップにもミドルにもバラードにも存在する、ある種の現実逃避的なチルさとシンプルな凶暴性、言い換えれば諦念的な感覚とそれを表現する手段としての言葉とサウンド。それはいち動画投稿サイトでの流行というよりは、明確に時代・世代のムードを映した鏡のようだ。