クリープハイプ×ヒップホップのコラボは必然だった? 「愛す(チプルソ Remix)」と原曲の変化から考察

クリープハイプ×ヒップホップのコラボは必然だった? 「愛す(チプルソ Remix)」と原曲の変化から考察

 個人的な話で恐縮だが、昨年、尾崎世界観がTBSラジオ『ACTION』のパーソナリティに選出された際、その流れでインタビューをさせていただいたのだが、その余談として「今みたいにブームになる前に『戦極MC BATTLE』を何回か観に行ったことがある」と聞いて、非常に興味深かった記憶がある。

 もちろん、クリープハイプがアルバム『世界観』に収録された、ラッパーのチプルソをフィーチャリングに招いた「TRUE LOVE」は聴いていたし、尾崎と同世代のBase Ball Bear小出祐介が「バンドをやってなければラッパーになりたかった」と様々なインタビューで話しているように、彼らの世代においてはラップという表現やヒップホップというアートフォームは決して珍しくない。

 しかし、歌詞の上で散見されるライミングや、ボーカル表現の発話など、随所には「ラップ以降」の感触を覚える部分はあるものの、明確にラップ曲として構成された楽曲はクリープハイプには恐らくなく、チプルソとのコラボレーションも、そしてMCバトルの観戦という事実にも(しかも、確か「浦和 CLUB BASE」のような、埼玉の現場だったと話していたような気がするのだが、正確なところは失念)驚かされた。

クリープハイプ – 「愛す」 (MUSIC VIDEO)

 さて本題に入ると、この項ではクリープハイプ「愛す (チプルソ Remix)」について執筆するわけだが、オリジナルバージョンの「愛す」も、上記のように、ライミングで展開される部分も多い。例えば〈ベイビー ダーリン 会いたい/メイビー ダーリン 曖昧〉〈ベイビーダーリン 会いたい/メイビーダーリン あ、今いい〉という、フックでのライムで語調を揃える部分であったり、〈ブス〉と〈バス〉という連携、そして〈君〉と〈黄身〉や〈そば(側)〉と〈蕎麦〉という、同音異義語による意味の乗り換えと転換など、ラップ表現とも近接するワードプレイ的な意匠が散見される。その流れにおいても、リミックスにラッパーであるチプルソを迎えることになんら違和感はなく、必然性を感じさせる。

 そして上記の通り、「愛す」のリミキサーとして招聘されたチプルソ。ライブにおけるMPCやアコースティックギター、ヒューマンビートボックスを駆使し構築したトラックにラップを乗せる“NO DJ 1MC”スタイルでのパフォーマンスや、2010年付近には彼の地元である大阪にて、韻踏合組合が主催する『ENTER』や『戦極MC BATTLE』といったMCバトルでも名を馳せたラッパーである。近年はバトルへの出場は無いが、アルバム『一人宇宙 -起源FREESTYLE-』などの“一人宇宙シリーズ”のリリースや、WARAJIクルー所属のDJ/トラックメイカー:KazBubbleと共にユニット・バブルソを結成し、『Goodbye CABIN』などのアルバムをリリースし、マイペースながらコンスタントなリリースを続けている。また、客演としても韻シスト『STUDIO 韻シスト THE ALBUM』に収録された「HOT COFFEE feat. 鎮座DOPENESS, チプルソ, サッコン & BASI」や、 DJ KRUSH『軌跡』収録の「バック to ザ フューチャー feat. チプルソ」など、印象的な客演作も制作。その中には、先に述べたクリープハイプ「TRUE LOVE」も存在する。

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