滝沢望が歌う“空耳ミュージック”が新たなブームに? 「B/ENJOY」配信記念ライブレポート
滝沢望が、12月19日に渋谷・Jz bratにて『Nozomi Takizawa Release Party』を開催した。
滝沢は、ニューヨークでも活動しているシンガーソングライター。独自の視点で「R&B Jazz&Soul」を追求し、昨年6月にリリースしたニューヨークのトップジャズマンとのコラボ作品『Nozomi』は現地でも高い評価を獲得している。
今回の公演は、滝沢がライブ当日にリリースした「B/ENJOY」の配信を記念したもの。ジャズクラブ・Jz bratにて彼女がライブを行うのは、およそ半年ぶり、2回目だ。バンドメンバー、デニス・ランバード(Pf)、中村健吾(Ba)、岡部朋幸(Dr)、池本悠(Gt)のジャズセッションを経て、滝沢が客席後方より登場。「Night and Day」、「Old Devil Moon」といったジャズのスタンダードナンバーからライブはスタートした。
前回のライブにてリクエストのあったという歌謡曲シリーズ、坂本冬美「また君に恋してる」をジャズアレンジで披露した後には、Yurie Yamazaki(Sax)をスペシャルゲストに迎え、『Nozomi』収録のオリジナル曲「Gift」を憂いを帯びたボーカルで歌い上げた。
高澤綾(Tp)を呼び込み、ラストにパフォーマンスしたのは新曲「B/ENJOY」。もともと10年前から存在し、滝沢自身も思い入れのあったこの楽曲は、今年3カ月に渡るニューヨークでの武者修行を経て、カサンドラ・ウィルソンの音楽プロデューサー兼ベーシストであるロニー・プラキシコがアレンジを担当している。
「トリッキーな悪ふざけに挑戦してみました」と滝沢は話していたが、この曲は全編英詞でありながら、日本語にも聞こえる“空耳ミュージック”として制作されている。本格的なジャズのグルーヴに日本語が当てにくい葛藤もあったというが、「トイレに行きたくても行けない状況」をストーリー仕立てに描いた歌詞は、ユニークかつポップだ。
リリースに先行して公開されたMVでは、トイレに行くことの出来ない、じれったい状況と表示される歌詞も相まって空耳ソングにしか聞こえてこないが、ライブで聞くとクオリティの高いクールなモダンジャズの1曲に思えてくるのだから不思議だ。
“ハイブリッドデトックスソング”とも呼ばれている「B/ENJOY」。英語と日本語の似た発音から2つの物語を紡ぐこの楽曲が、新たなブームを作り出すかもしれない。
(文=渡辺彰浩)
■リリース情報
「B/ENJOY」
2019年12月19日(木)より iTunes、レコチョク、Spotifyほか各種音楽配信サイトにて配信