『REDLINE』が映した現在のバンドシーンの最前線ーーライブハウスと地続きの10周年記念イベントを見て

『REDLINE』10周年イベントを見て

 「『REDLINE』に出たバンドは売れる」なんてジンクスを聞いたことは1度や2度ではない。バンドシーンを作り上げてきた猛者が、それぞれのフィールドで戦い、畑を耕し続け、花を咲かせる努力を積み重ねてきた。その花を幕張メッセに持ち寄り、イベントへの想いをライブで体現する。そんな一日だったように筆者は振り返る。ある人は、「生まれ変わっても『REDLINE』にでたい」、またある人は、「一番難しいのは“始める”よりも、“辞める”よりも、“続ける”こと。貴重な瞬間に立ち会えて嬉しい」と、想いを語り、あるバンドは、主催者との出会いの曲を鳴らすなど、それぞれの形でイベントへの気持ちを最大限表していたように思う。そんな中で、極めつけは大トリ・SiMだった。自らが大トリを任されたことについて、「俺たちが一番カッコイイからだよ!」「文句あるか!」と啖呵を切り始まったのだが、何の文句もでない圧巻のステージング。会場の端の端まで熱狂していた。そして、曲中のウォールオブデスで主催者・KTR氏を呼び込み、最後に大きな花を持たせ、ステージを後にしていた。若干戸惑いながらウォールオブデスに飲みこまれたKTR氏だったが、観客の頭上を泳ぎながら帰ってくるときにはライブキッズに戻ったような表情をしていたのもこの日のハイライト。イベントの締めくくりには文句なしであった。

KTR氏(Photo by スズキコウヘイ)
SiM×KTR氏(Photo by スズキコウヘイ)
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KTR氏(Photo by スズキコウヘイ)
SiM×KTR氏(Photo by スズキコウヘイ)
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 2万人即完売を達成した、ライブハウスと地続きのイベント『REDLINE』。イベントの10年を支えたバンドたちの異種格闘戦はこれまでのダイジェストではなく、現在のバンドシーンの最前線だった。これから続いていくライブハウスでの『REDLINE』も、この先のバンドシーンを作っていく中で存在感を放っていくだろう。また何年後か、こんな最高な祭典が催されることを楽しみに、さぁ、ライブハウスへ帰ろう。熱狂はすぐそばにある。

(文=石見優里佳)

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