デーモン閣下、大ファンのALICEとのコラボで生まれた楽曲「NEO」は令和のアンセムとなるか

デーモン閣下×ALICE「NEO」を分析

 80年代のロックシーンに彗星の如く現れ、聖飢魔Ⅱを率いてハードロック/ヘヴィメタルを一般的に知らしめたデーモン閣下。かたや、フォークソングとバンドサウンドを融合し、70年代のポップスシーンに新たな風を吹かせたALICE。世代を越えたエポックメイキングな両者が、デーモン閣下のニューシングルでがっちりとタッグを組んだ。昭和を生きた男達を再び奮い立たせる「チャンピオン」+「蝋人形の館」のようなアンセムソング「NEO」が誕生した。

デーモン閣下『NEO』

デビュー48年目で初、ALICEがプロデュース

 ALICEは、山口百恵の「いい日旅立ち」や自身の楽曲「昴-すばる-」といった今に歌い継がれる名曲を作詞作曲した谷村新司、ALICEのヒット曲「冬の稲妻」や「ジョニーの子守唄」などを手がけ、ソロでは1978年発表の「君のひとみは10000ボルト」でチャート1位を獲得した堀内孝雄、そして、ドラマーの矢沢透の3人によるグループ。1971年にシングル「走っておいでよ恋人」でデビューした。

 フォークソング一色だった、70年代のポップスシーン。その中でALICEはフォークソングとバンドサウンドを融合し、哀愁漂わせた男の背中をアツく歌い上げるスタイルで、70年代後半の音楽シーンを席巻した。それまでつま弾きながらしんみりするイメージだったフォークギターを、小気味良いテンポでジャカジャカと力強くかき鳴らす様子は当時の若者の憧れだった。メインのメロディ以上に耳に残る合いの手のコーラスも話題を集め、例えば「冬の稲妻」(1977年)の〈You’re rollin thunder〉の後に出てくるコーラスや、50代ぐらいの方は「チャンピオン」(1979年)に出てくる〈You’re King of Kings〉というコーラスを、学校で友だちとマネした覚えもあるのではないだろうか。また当時は谷村の軽快なトークも人気で、谷村がパーソナリティを務めたラジオ番組も人気を集め、ALICEをスターダムに押し上げる要素になった。音楽界だけでなくテレビ/ラジオ業界をも席巻したALICEは、1978年に日本人アーティストとして初めて日本武道館3days公演を開催した他、1981年に活動停止するまでに、後楽園球場(正式名称は後楽園スタヂアム)や阪神甲子園球場などでのスタジアムライブも数多く成功させている。

 デーモン閣下は、世を忍ぶ仮の姿の中学生時代からALICEの大ファンだったそう。コラボレーションのきっかけは、6年ぶりに再結成して現在活動しているALICEに密着したドキュメント番組、『ALICEの210歳「限りなき挑戦」2019』(フジテレビTWO)に、閣下がゲスト出演したこと。閣下は40年以上前からALICEのファンだったエピソードを改めてメンバーに熱弁し、満を持して楽曲提供をオファー。「もし可能であればみなさんで……」と言葉を続け、それに3人は快諾し、ALICEとしてはデビュー48年目にして、初のアーティストプロデュースを務めることになった。

左から:矢沢透、堀内孝雄、デーモン閣下、谷村新司

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