中川翔子×ウォルピスカーター対談 亡き父・中川勝彦の時代を越えた愛のメッセージ「今ごろ天国でガッツポーズを取っている」

中川翔子×ウォルピスカーター対談

大切な人への「愛」は、時を超えて伝わってくる強いメッセージ

中川翔子「ある日どこかで」Music Video

ーーさて、ここからはその「ある日どこかで」で作編曲を担当したウォルピスカーターさんを迎えての対談です。もともとこの曲は、中川さんのお父さま(中川勝彦)のメモ書きから始まったそうですね。

中川:はい。今年の夏頃に父の遺品を整理する機会があったんですけど、押し入れから出てきた大量のスケッチブックには、書き残した作りかけの歌詞や、ノートに書かれたメモ、ちょっとしたイラストなどがたくさん残っていて。さきほどジャケットを描き下ろした話をさせてもらいましたが、この時も「直筆の力ってすごいな」と改めて思ったんですよね。そしたらちょうどレコーディングの話が動き出したので、何か1曲くらい父と一緒に出来ないかなと。

ウォルピス:ある日、寝ていたらマネージャーから電話があって。「中川翔子さんのお父さまの詞をもとに曲をプロデュースしてほしい」というオファーが来たっていうんですよ。もう、重大な役目のプレッシャーから胃が痛くなりましたね(笑)。僕で本当にいいのだろうか? と。

中川:初めてウォルピスさんの歌を聴いた時に「なんて美しい声を持った女性なのだろう」と思いました。なのでプロフィールに「高音系男子」と書いてあるのを見て驚きましたね。しかも高い声だけではなく、いろんな声色を使って様々なジャンルの曲を歌いこなせるから、どんな人なんだろう? と気になっていました。顔出しもしていないから尚更ですよね。しかも年齢も20代と聞いて「若い!!」ってなった(笑)。

ウォルピス:あははは!

中川:私は割と最初からSNSにスッピンの写真を乗せたり、「尻を骨折した」とか呟いたりしてきたので(笑)、ウォルピスさんの神秘性みたいなものが羨ましかったです。実際のウォルピスさんはどんな人なんだろう、気難しい感じの人だったらどうしよう……と思ってたら、収録スタジオで「おはようございます!」とめっちゃ爽やかな声で迎えてくださったから、改めてびっくりしました(笑)。思わず「本物だ!」って叫んじゃいましたよね。

ウォルピス:僕からしたら、しょこたんといえば、テレビでもご活躍されている「雲の上の人」じゃないですか。会う前はめっちゃ緊張していましたね。でも、会っていきなり「本物だ!」って言ってくださり、一気に緊張が溶けていきました。僕もすかさず「本物だ……!」と返しましたが。

中川:想像上の人物が実際に生きていることにすごく感動するんですよ。ネットの顔出ししてない人と、漫画家さんに会える瞬間が一番嬉しい。「うわー生きてる!」って。

(一同笑)

ーー中川さんは、お父さんのメモをどのようにまとめて歌詞にしていったのですか?

中川:メモの中には父らしい言い回しがたくさんありました。ずっとロック系の音楽の仕事がしたくて、そのために書き溜めていた歌詞らしく。それらをすべて読んで……膨大な量だったし読むだけでも大変だったんですけど、特に「会いたい」という言葉、「愛」についてのフレーズが、様々な歌詞に散りばめられていたので、きっと父が一番言いたかったことが、この二つなのだろうと思ってまとめていきました。大切な人への「愛」は、時を超えて伝わってくる強いメッセージなんですよね。恋愛だけじゃなくて親子愛とか、友愛とか、ペットに対する種族を超えた愛もあるし。次世代に受け継がれる思いという意味も込めています。

ーー限られた時間の中、作詞と作曲を同時進行で進めていたとか。

中川:そうなんです。しかもレコーディングの前日にも「やっぱり、この言葉は入れたい」というのが出てきてしまったんです。〈この思い また逢えるまで さぁ風にのれ〉という言葉なのですが、色紙に直筆で書いてあるのが見つかって。どうやら、ファンの方へのサインにも、この言葉を添えていたみたいなんです。お墓にも彫ってあるくらい大事にしている言葉だったし、どうしても入れたくなって。追加でメロディを作ってもらっちゃったんです。重たいエピソードの上に、ややこしいオファーですみません……。

ウォルピス:いえいえ、とんでもない(笑)。

ーーウォルピスさんは、どんなことに気をつけながら作編曲をしましたか?

ウォルピス:しょこたんの声と、お父さんの歌詞をどうやって結びつけようか考えました。その時に思ったのが、僕の中でしょこたんといえば、『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』に出てくるアリーナ姫のイメージなんですよ。しかも、サントハイム王国の国王であるアリーナ姫のお父さんも物語の中で行方不明になってしまう。そういった設定も、実際のしょこたんと重なる部分があるんじゃないかと。アリーナ姫は、お父さんが亡くなっても周りに心配かけないよう天真爛漫に振る舞っているんですよね。それで乗り越えていく彼女の姿と、しょこたんを重ね合わせながら作業を進めていきました。

ウォルピスカーター

中川:出来上がったデモ曲をウォルピスさんからいただいて、イントロを聞いた時点で「うわ! きた!!」って鳥肌が立っちゃいました。メロディもすごく素敵で、歌いながら「この曲に出会えてよかった」と何度も噛み締めました。早くライブで歌いたいですね。ちなみに、父がこの詞を書いたのって、おそらくウォルピスさんと同じくらいの年齢の頃なんですよ。

ウォルピス:ええー! そうなんですか?

中川:父が亡くなってもう25年経つから、かれこれ構想30年超の楽曲ということになるんですよ(笑)。ずっと新しいものに対してオープンな人だったし、今を生きるクリエーターの方に曲にしてもらえて、きっと今ごろ天国で「よっしゃ!」ってガッツポーズを取っていると思います。

ーー曲名は、ヤノット・シュワルツ監督による1980年公開のSF映画からとっているんですよね。

中川:そうなんです。私がまだ生まれる前、父と母が別れ話をした時に「これが最後だから」と観た映画らしいんですよ。映画は時を越えて会いにいくというストーリーで、これを観たことがきっかけで2人は復縁して、それで私が生まれたらしいんです。

ウォルピス:なんてロマンチックな話! というか、出てくるエピソードがすごすぎて……そんな大切なものに携わらせてもらえたなんて、光栄すぎます。

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