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19thシングル『blue moon』インタビュー

中川翔子が語る、出会いや別れで再確認した歌手としてのあり方「“生きた証”として残るものが歌」

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 30代を迎え、ドラマや舞台への出演など活動の幅を広げてきた中川翔子が、シンガーとして実に約3年半ぶりのシングルをリリースする。

中川翔子 『blue moon』「ゾイドワイルド」エンディングテーマ

 ニューシングル『blue moon』は、表題曲がテレビアニメ『ゾイドワイルド』(MBS・TBS系列)の2クール目のエンディングテーマ。遠く離れていても、常に心の中にいる特別な存在について歌った爽やかな楽曲である。また、人気劇作家の根本宗子が作詞を手がけた「Heavy Girl」では“重い女”の情念をたっぷりと歌い上げ、先日リリースされたCHiCO with HoneyWorksとのコラボ曲をセルフカバーした「ミスター・ダーリン」では、“夫婦の絆”をキュートに歌い上げるなど、三者三様の“愛のカタチ”が並んだ濃密な作品に仕上がった。

 この3年半の間に、仕事面はもちろん、愛猫マミタスとの別れなどプライベートでも大きな出来事を経験した中川。そうした試練は彼女の作品に、どのような影響を与えているのだろうか。それぞれの楽曲についてのエピソードはもちろん、ファンへの熱い思いや今後の展望についてもたっぷりと語ってもらった。(黒田隆憲)【最終ページに読者プレゼントあり】

「愛を届けられるくらい心が強くなりたい」

中川翔子

ーー今回、ソロ名義での音源としては約3年半ぶりのリリースとなりますが、まずは率直な心境を聞かせてもらえますか?

中川:3年半ぶりというのはビックリですね。30代に入ってドラマとか舞台とか、初めてのことにも挑戦したし、生活環境もかなり変わってきて。でも、その間にもライブはずっとやりたいと思っていたし、ブレない夢として「歌を長く歌いたい」というのがあったので、今回リリースが決まって本当に良かったですし、しかもテレビアニメ『ゾイドワイルド』のエンディングテーマも決まったと聞いて、思わず「バンザーイ!」って叫んじゃいました。

ーー(笑)。元々『ゾイド』はご存知でしたか?

中川:かなり歴史のあるシリーズだということは存じていました。知り合いの40代の方からも、「『ゾイド』シリーズの曲を、翔子ちゃんが歌うなんてビックリだし嬉しいよ!」とおっしゃってもらって、そんな作品に関わらせていただけるのは光栄だなと思いました。お引き受けしてからは、プロットやキャラ設定を見せていただいたり、自分なりにも色々調べたりして、そこからどういう歌詞にしていくかを考えました。

ーー「blue moon」というタイトルには、どんな意味があるんですか?

中川:詞を共作したmeg rockさんから提案があったんですけど、後から調べたら「あり得ないほどの奇跡」という意味もあることを知ったんです。もう「これしかない!」って。

ーーというのは?

中川:月って、地球にとっては特別な存在じゃないですか。ずっと見守ってくれるし、寄り添ってくれる。曇って見えなくなったり満ち欠けしたり、スーパームーンやストロベリームーンなんて現象もあったりするけど、どんな状況であってもいつも一緒だし、いつも同じ面を向けて見守ってくれているというか。そういう月と地球の関係を、アラシと相棒ワイルドライガーの関係性に寄せて行きました。歌詞の全体的な構成や、サビのフレーズは主に私が考えて、補足でmegちゃんに入ってもらった感じですね。

ーー中川さん自身の、個人的な思いや経験も投影させていますか?

中川:はい。歌を歌っていると、「もう会えなくなってしまった存在にも届くんじゃないかな」という感覚がすごくあって。きっと誰しも、「いてくれたから今の自分がある、そしてこれからも生きていける」と思えるような大切な存在があると思うんですよ。そんな存在を思い浮かべながら聴いていただけるように、自分自身も、その存在への感謝を込めました。

ーー今おっしゃった、「歌を歌っていると、もう会えなくなってしまった存在にも届くんじゃないかな」という感覚は、ずっと前からあったものですか?

中川:「歌を歌いたい!」っていうシンプルな衝動は小さい頃からあったんですけど、誰かに聴いてもらって歌を歌うという機会があるたびに、どんどん思うようになっていきましたね。あと、普段の日々でもふとした瞬間に、「わ、なんか懐かしいな」とか、「あの時は一緒にいたなあ」とか思うことがよくあって。きっとmeg rockさんの書いてくれる歌詞の世界観にそういう要素が前からあって、それにだんだん気づいてきたのだと思います。やっぱり人生って、嬉しいことも新しい出会いも、悲しいことも永遠の別れも、いつか必ず経験するんですよね。

ーー中川さんにとって、愛猫マミタスとの別れは大きな出来事だったと思うんですが。

中川:すごく大きかったですね。歌詞を書くときにもいつもそばにいてくれたし、挫けそうになったり、「もう(音楽活動を)辞めるしかないのかな」と思ったりした時も、黙ってそばにいてくれて。忙しかったり大変だったり、ずっと外にいる時間が長かった時でも、ずっと待っててくれていたんだなと思うと、私にとってとても大きな存在でした。

ーー個人的には、〈星が見えない夜も朝も 君は いつも そこにいて 変わらずに 僕を 見守って 照らしてくれるんだ どんなときも ずっと 一緒に〉という歌詞が響きました。もう二度と会えなくなった存在でも、自分が忘れなければずっと心の中に生き続けるのだなって。

中川:マミタスが亡くなって、私がまだ整理がついていないときにヒャダインさんが、その気持ちを「愛してる」という曲にしてくださったんです。その時の思いをなんとか言葉にして吐き出したものを、ヒャダインさんが歌詞として組み立てて下さった曲なんです。最初はもう、ライブでも泣いてしまって最後まで歌えなくて。でも、〈いつかまた 虹の向こう 手を繋ごうね ありがとう〉という歌詞を改めて読んで、「あ、そうか。これからも一緒に生きていけるんだ」っていうふうに、気持ちの角度を変えさせてもらって乗り越えられたというか。同じように、「blue moon」の意味する「あり得ないほどの奇跡」と思えるほどの出会いって、サトシとピカチュウとか、ラプンツェルとパスカルというか、アラシとワイルドライガーというか(笑)。

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ーーええ(笑)。

中川:そういう出会いって、人生の中で何度もあるわけじゃないですよね。だからこそ、その存在のおかげで前に進むことができて、夢を見つけられて。折れて粉々にならないで済んだというか。それが、聴いてくださった人にとっては誰なのかを、一人一人聞いてみたいなあとも思いますね。

ーーそんな風に考えられるようになったのは、お父さまのことも大きいですか?

中川:そう思います。父もまだ、そばで見守っていてくれているような気がしてならなくて。この間も林哲司さんから、まだ針を落としてない父のレコード盤をプレゼントしてもらったんです。そういう父との「出会い」が、まだまだこれから先も続くのかもしれないし、私がこうやって歌い続けているのも、もしかしたら父の夢の続きなのかな? って。あんまりそういうこと、思い過ぎないようにはしているんですど、たまにこういう不思議な出来事があると「あ、やっぱり!」ってついつい思っちゃいますね(笑)。

 あと、「大切な存在はいつまでも心の中に生き続ける」という意味では、今回の「blue moon」は必ずしも別れの歌じゃないと思うんです。反対の立場でいえば、どんな時も無償の愛情を注ぐってすごく大変なことですよね。人の幸せを願ったり、笑顔で長生きして欲しいなって思えたりするのって、本当に覚悟のいることだと気づいてからは、自分もそれを誰かに対してそういう存在になれるように、愛を届けられるくらい心が強くなりたいなって。そんなことをぼんやり思ってたのが、今回歌詞にまとめられて良かったなと思います。

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