THE YELLOW MONKEYがライブバンドとして成し遂げた偉業 現場スタッフが明かす、90年代の最盛期~解散までの舞台裏

THE YELLOW MONKEY、ライブでの偉業

伝説のフジロック、そして東京ドームへ

メカラ ウロコ・8/撮影:有賀 幹夫

 90年代後半のTHE YELLOW MONKEYのライブを語る上でどうしても欠かせないのが、1997年7月26日、富士天神山スキー場で初開催された『FUJI ROCK FESTIVAL '97』でのステージだろう。台風が押し寄せる悪天候の中、ヘッドライナーのRed Hot Chili Peppersと当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったRage Against The Machineに挟まれる形で、セミ・ヘドライナーとしてフェスに参加したTHE YELLOW MONKEYは洋楽ロックファンを前に濃厚なセットリストを展開。しかし、ここでのステージがその後の活動に暗い影を落とす一因となったと、メンバーから語られることも多い。

「いろいろ言われましたけど、僕はあのライブパフォーマンスはカッコいいと思いましたけどね。Rage Against The MachineのあとにやったTHE YELLOW MONKEY。映像で観ると、びっくりするぐらい盛り上がってないですけど(笑)」(青木氏)

「フジロックはメンツがメンツだったので、考えに考えた末の選曲でしたけど、そこに台風が加わってアウトになっちゃったという。ただ、あとから映像で観ると別にライブ自体は悪くないし、ステージ袖には海外アーティストがみんな観にきていましたから。ただ、お客さんのダメージがひどすぎて、『この土砂降りでそれかよ!』みたいな。僕も『日本代表なんだから』と散々煽ったのも悪いんですけどね。あとからメンバーにも『勘弁してよ、Rage Against The Machineのあとにやる身になってみろ!』って怒られましたけど(笑)」(大森氏)

 こういった経験に加え、113本におよぶ『PUNCH DRUNKARD TOUR 1998/99』を1999年3月に終えたバンドがツアーを再開するのは、2000年春の『SPRING TOUR』(全10公演)まで待たねばならなかった。この頃になると、THE YELLOW MONKEYは「バラ色の日々」「聖なる海とサンシャイン」「SHOCK HEARTS」といったシングルで初めて外部プロデューサーを迎える実験に挑み始める。また、『SPRING TOUR』においてもこれらの楽曲を演奏する際にはシーケンサーと同期した演奏に取り組むなど、新たな試みが多数見受けられた。

 大森氏、倉茂氏、青木氏は当時バンドが置かれた状況と照らし合わせ、この時期を振り返る。

「やっぱり『PUNCH DRUNKARD』の頃と比べて、ひとつ変わった感じはありました。でも、結局そこで終わってしまったので……。よく覚えているのは、この頃の移動中に吉井から『パール』のデモを聞かされて。あの曲は吉井が自分でプロデュースしましたけど、『これ、売れるかなあ?』って当時イベンターの僕に聞いてきたんです(笑)。メンバー的にもそういう迷いがあった時期だったんでしょうね」(青木氏)

「『SPRING TOUR』はアルバムありきのツアーじゃなかったし、葛藤の時期だったんじゃないかな。その後のTHE YELLOW MONKEYの魅せ方とかライブのあり方を模索したツアーでもあったので」(倉茂氏)

「2000年の3月にはもう活動休止の話は持ち上がっていたんですよ。その中で『SPRING TOUR』をやらなくちゃいけなかったので、バンド活動を続けること自体が容易ではなかった。かつ、7月にはアルバム『8』のリリースも控えていて、4人で一緒の方向を見ることができなくなっていたところもあって。リハーサルやプロモーションなどの現場では緊張感が強すぎて、ちょっと入っていけない雰囲気もありました。ただ、『SPRING TOUR』やその後の『メカラ ウロコ・8』のライブの内容はすごくよかったと記憶しています」(大森氏)

 上記のとおり、2000年7月にメジャー8thアルバム『8』をリリースすると、翌2001年1月に大阪ドームと東京ドームで『メカラ ウロコ・8』と題した初のドームライブを行うことを発表。しかし、ライブを目前とした2000年11月に、東京ドーム公演を最後にバンドは活動休止することが発表された。

「大阪ドームも東京ドームも初、チケットがソールドアウトしてから活動休止を発表したんですよ。普通は活動休止を発表して、ネタとして口コミで広まってから券売することが多いんですが、売り切ってから活動休止を発表したところにバンドの思いが伝わってきました。特に東京ドーム公演はメンバーも緊張していて、そのときのことをよく覚えていないと言いますけど、それは僕も一緒で。そんな中で一番印象的だったのが、最後の吉井のMCと原点である『WELCOME TO MY DOGHOUSE』を演奏したことかな」(倉茂氏)

「メンバーはストイックにやっていたと思います。ファンの間では東京ドームの休止ライブはつらくて観ていられないとか嫌だとかいう声も多かったですけど、僕の中ではライブの完成形を見た気がするんです。暖かみはないのかもしれないですけど、やっと完璧なライブを最後の最後でできてよかったね、みたいな気持ちは強かったですね」(大森氏)

 2001年1月8日を最後に、バンドは長い活動休止期間に突入。2004年7月7日には正式に解散を発表することになるが、メンバー4人が2016年1月8日に再びTHE YELLOW MONKEYとして再集結を宣言するまでに15年もの歳月を要することになる。

(後編へ続く)

(取材・文=西廣智一)

THE YELLOW MONKEY – SELECTION of THE YELLOW MONKEY ダイジェスト映像 ("9999" 初回生産限定盤収録)

■ドームツアー情報
「THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary DOME TOUR」
2019年12月28日(土) ナゴヤドーム OPEN 15:00 / START 17:00
2020年2月11日(火・祝) 京セラドーム大阪 OPEN 15:00 / START 17:00
2020年4月4日(土) 東京ドーム OPEN 16:00 / START 18:00
2020年4月5日(日) 東京ドーム OPEN 15:00 / START 17:00

■チケット詳細
指定席 ¥9,900(税込)
※6歳以上はチケットが必要(但し、6歳未満でも座席が必要な場合はチケット必要)
オフィシャルサイト
DOME TOUR特設サイト

<ドームツアー・オフィシャルグッズ先行販売中>
未公開写真を含む、結成当時から30周年を迎える“今”までの様々なシーンを切り取ったアートブック仕様のツアーパンフレットや、メンバープロデュースアイテム、各エリアごとの限定アイテムなど30周年を彩るアニバーサリーツアーグッズの数々をオフィシャルストアにて先行販売中。『ストア限定アイテム』は会場販売はなく、サイト内でしか手に入れることができないアイテムとなっている。今なら、ツアーグッズを5,000円以上お買い上げの方に各エリア限定カラーのショルダービニールバッグをプレゼント中。

THE YELLOW MONKEY OFFICIAL STORE

『30th Anniversary『9999+1』–GRATEFUL SPOONFUL EDITION–』

■リリース情報
『30th Anniversary『9999+1』–GRATEFUL SPOONFUL EDITION–』(読み:サーティース アニバーサリー フォーナインプラスワン -グレイトフル スプーンフル エディション-)
2019年12月4日(水)発売  
¥7,800(税別)

<Disc1収録内容>
M1. ボナペティ-OPENING-
M2. この恋のかけら
M3. 天道虫
M4. Love Homme
M5. Stars (9999 Version)
M6. Breaking The Hide
M7. ロザーナ
M8. Changes Far Away
M9. 砂の塔
M10. Balloon Balloon
M11. Horizon
M12. Titta Titta
M13. ALRIGHT
M14. I don't know
M15. ボナペティ-ENDING-
M16. ダレカニ-demo-
M17. eien-demo2015-

<Disc2 収録内容>
「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019 -GRATEFUL SPOONFUL-」@宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ(2019年8月3日)
M1. この恋のかけら
M2. ロザーナ
M3. 熱帯夜
M4. 砂の塔
M5. Breaking The Hide
M6. 聖なる海とサンシャイン
M7. Tactics
M8. 天国旅行
M9. Changes Far Away
M10. JAM
M11. Balloon Balloon
M12. SPARK
M13. Love Homme
M14. 天道虫
M15. バラ色の日々
M16. 悲しきASIAN BOY
M17. Titta Titta
M18. 太陽が燃えている
M19. SUCK OF LIFE
M20. I don’t know

<豪華フォトブックレット>
アリーナツアー全エリアを網羅した完全密着未公開フォト写真集を超越した、全204ページの豪華フォトブックレット
先着購入特典:GRATEFUL SPOONFULオリジナルトランプ
※特典には限りがございます。なくなり次第終了となりますので予めご了承ください。
※一部取扱いのない店舗もございます。特典の有無に関するお問い合わせは直接各店舗へご確認下さい。

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