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King Gnuは“歌”という羽根を本気で広げはじめた 『Sympa』全国ツアーファイナル公演を見て

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 最初にセンスの塊だと感じた。これは商業的セオリーを忌避しながら成立させるポップミュージック、アバンギャルドの脳味噌で作る歌謡曲だと。約1年半前、King Gnuの1stアルバム『Tokyo Rendez-Vous』のレビューで書いた文章だ。

(写真=小杉歩)

 その印象は今も変わらない。たとえば中盤のハイライトとなった「Flash!!!」の構成。最初は勢喜遊のドラムソロかと思っていた。強烈なスネアと鮮やかなタムさばき。そこに飛び込んでくるのは高音域のノイズ。無機質な周波数は切れぎれに刻まれることでデジタルのビートとなり、勢喜の生ドラムと絡まりながら高揚をもたらしていく。数分は続いたその光景に、ふいに新井和輝のベースが加わり、前衛的なビートパフォーマンスだったものに、躍動的なグルーヴが発生。聴き覚えのあるベースライン、あぁこの曲は……と思った瞬間、〈It’s Flash!!!〉のコーラスがはじけ、なだれ込むように楽曲がスタートしている。ステージには文字通りフラッシュの嵐。なんてクールなのかと目眩がした。

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常田大希
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 隙がない。媚びがない。前例がない。確かにKing Gnuは4人編成バンドだが、4カウントとギターのストロークがあれば客が一斉に拳を上げるようなロックのセオリーは完全に無視されている。またメロディは抜群にキャッチーであるが、当然、ノイズから始まる歌ものなどそうあるものじゃない。かといって「わかる人にわかればいい」という閉塞感もないのだ。むしろ不敵な笑みを浮かべて「どうだ? ヤバいもん見てんだろ?」と問うような常田大希の目に釘付けになる。平たくいうと、格好いい奴らがクソ格好いい音楽を格好よくやっているのだ。ぶっちぎり。そうとしか言いようがない。

(写真=小杉歩)

 今年1月に発売された2ndアルバム『Sympa』を携えてのワンマンツアー。今回のSTUDIO COAST公演は8都市を回る全国ツアーのファイナルにあたるが(追加2公演あり)、3月にも同じハコを満員にしていること、今回も当然ソールドアウトであること、さらに数日後には追加公演のなんばHatchとZepp DiverCityが決まっていた事実を並べただけで、大バコを制覇せんとするバンドの勢いは伝わるだろう。加えて、ツアーを重ねることで加速度的に鍛えられた部分もある。今回特に目立ったのは井口理の存在感、つまりは歌唱の部分だった。

(写真=小杉歩)

 とにかく歌が強い。柔らかな井口のファルセットは刺のある常田のアジテートと対になることでバンドの個性を担ってきたが、今の彼は思い切りエモーショナルに歌い上げている。ときには定位置を離れてハンドマイクで中央に飛び出し、全身を使って熱唱してみせる。まさに歌手の名に相応しいパフォーマンス。こういう井口の姿は、2年前にはほとんど見られなかったように思う。

      

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