インタビュー連載『あの歌詞が忘れられない』
崎山蒼志に聞く、心に残っている3曲 「坂本さんの歌詞は“すべてが終わった後”という感じがする」
「普遍的な万物の流れを捉えた曲も書いていきたい」
ーー崎山さんの歌詞についても聞かせてください。曲を作っていくなかで言葉が浮かんでくるということでしたが、すべての楽曲がそういった作り方なのでしょうか?
崎山:印象的なフレーズは言葉とメロディが一緒に出てくるのですが、一部は歌詞から書いているところもあります。詩人の吉増剛造さんも大好きで。その方の詩は、今回挙げた3曲のように“洗練されている”というよりも、自分のなかのよくわからない感覚を追うような詩なんです。この3曲のような歌詞も書きたいのですが、吉増さんの詩のような気持ち良さも自分の歌詞に取り入れることが多いです。僕は、“今”感じてる感覚を詞にすることが多くて……。散文詩からの影響も強く受けています。
ーー確かに、崎山さんの歌詞からは自身の感覚を追っているような印象を受けます。
崎山:でも、これから曲を作っていくなかで、だんだんこの3曲のようなかたちに近づけていきたいなと思っています。散文詩の要素も入れながら、より言葉を紡いでいくような歌詞を書いていて、自分なりに探求しています。
ーーアルバム『並む踊り』では、君島大空さん、諭吉佳作/menさん、長谷川白紙さんとそれぞれ共作していますね。
崎山:3人からはサウンド面でも影響を受けました。みなさんめちゃくちゃすごい人たちで、今回一緒に作品を作らせていただけて恐縮です。
ーー3人と共作したことで作詞方法も変わりましたか?
崎山:皆さんそれぞれ独特で、本当に刺激的だったのですが、特に長谷川さんの曲に関しては今までにない作り方でした。長谷川さんから「崎山くんの断片をください」って言われて、イメージに合う写真を送ったり曲の一節を送ったりして。それを長谷川さんなりに受け取って曲を作ってくれました。長谷川さんから届いたデモの中にはサックスのメロディが配列されていて、そこに言葉を当てはめていくように書きました。
ーー崎山さん一人で作った楽曲と比べて内容の変化はありましたか?
崎山:長谷川さんの曲に関しては私的な歌詞になりました。言葉を当てはめるように意識しつつも、散文に近い感覚で作詞できて楽しかったです。普段は自分の詞を特別に好きだって思うことは少ないんですけど、この曲は好きです。最近一人で作った曲は、“歌詞を作る”ことに意識的になっていたからか、どちらかというと挙げた3曲に近いかもしれません。
ーー最後に崎山さんが理想とする歌詞のかたちについてお聞かせください。
崎山:感情をストレートに伝えるよりも何かを通して見えてくる歌詞が好きです。あとは、自分のわからない感覚が届くような詞や、普遍的な万物の流れを捉えた曲も書いていきたい。歌詞は、意味が繋がってなくてもいいですし、場面で切り替わってもいいと思いますし、自由な場所。それが“詞”だなって思います。
(取材・文=北村奈都樹/写真=林直幸)
※記事初出時、一部表記に誤りがございました。訂正の上お詫びいたします。
■リリース情報
『並む踊り』
2019年10月30日(水)発売
¥2,728+税
<収録曲>
1.踊り
2.潜水(with 君島大空)
3.むげん・(with 諭吉佳作/men)
4.柔らかな心地
5.感丘(with 長谷川白紙)
6.夢模様、体になって
7.烈走
8.泡みたく輝いて
9.Video of Travel
■ライブ情報
『崎山蒼志 TOUR 2019 「並む踊りたち」』
<日程会場一覧>
10月28日(月)渋谷 CLUB QUATTRO
18:15開場/19:00開演
11月3日(日)高松 SPEAK LOW
15:30開場/16:00開演
11月4日(月・祝)大阪 umeda TRAD(ゲスト : 諭吉佳作/men)
15:30開場/16:00開演
11月10日(日)東京 神田明神ホール(ゲスト : 長谷川白紙 )
15:15開場/16:00開演
11月16日(土)福岡 ROOMS
15:30開場/16:00開演 ※完売
11月17日(日)広島 SECOND CRUTCH
15:30開場/16:00開演
11月30日(土)名古屋 JAMMIN'
15:30開場/16:00開演
12月15日(日)浜松 窓枠(ゲスト : 君島大空)
15:30開場/16:00開演
12月21日(土)仙台 HooK
15:30開場/16:00開演
12月22日(日)札幌 KRAPS HALL
14:30開場/15:00開演
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料金:前売り¥3,700(税込、ドリンク代別)
※小学生以上チケット必要