椎名林檎、『時効警察』ヒロイン 三日月しずかをどう描いた? 主題歌「公然の秘密」を分析
10月25日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)にて、椎名林檎の新曲「公然の秘密」がTV初披露される。
同曲は、現在放送中のオダギリジョー主演ドラマ『時効警察はじめました』(テレビ朝日系)の主題歌。2010年に監督・三木聡とオダギリジョーがタッグを組んだドラマ『熱海の捜査官』で主題歌「天国へようこそ」を提供した椎名が、監督から9年ぶりにオファーを受けて書き下ろした楽曲だ。
『時効警察』は、総武署時効管理課の霧山修一朗(オダギリジョー)が時効になった事件を“趣味”で捜査するコメディミステリー。今作『時効警察はじめました』は、『時効警察』(2016年1月期)、『帰ってきた時効警察』(2007年4月期)に続く、シリーズ第3弾だ。
それに先駆け、今年9月にはスペシャルドラマ『時効警察・復活スペシャル』も放送された。作品中では、12年前にアメリカFBIに出向していた霧山が帰国。再び時効管理課に配属された。その際、彼の復帰を小躍りで誰よりも喜んでいたのが交通課・三日月しずか(麻生久美子)だ。第1、第2シリーズでも霧山の相棒を務めた彼女は、彼に熱い想いを寄せているという役柄だった。主題歌である「公然の秘密」はそんな彼女の恋心を歌った楽曲である。今回は楽曲の中で三日月というキャラクターがどう描かれているかを考察していきたい。
三日月は霧山が渡米後、6年前に結婚したものの性格の不一致で離婚。今作でまたもや霧山と時効の事件を追うことになり、恋心が再燃する。三日月自身は霧島への想いを“秘めたる恋心”だと思っているようだが、彼女の行動はかなりわかりやすい。そう考えると「公然の秘密」というタイトルは、彼女の霧山への思いやそのわかりやすい行動を捉えているように思える。そして、〈秘密という名で評判のフレーバーよ〉という歌詞からも、彼女は恋心を悟られてしまうかもしれないというぎりぎりの状況を楽しんでいることがわかる。
三日月の思いを知ってか知らずか、霧山は彼女と距離を縮めようとはしない。『帰ってきた時効警察』の最終話では、三日月が彼に思い切って「霧山くん、私のことどう思っているの?」と聞いていたが、それもはぐらかしたままだ。そんな彼は三日月にとって、自分の恋心を弄ぶ存在なのだろう。〈どこから漂う 美味しそうな匂い/逃れらんないの一旦嗅いだら最後よ〉や〈頭まで微熱持って/めろめろ…ジゴロ/憖そそらないで存在さえもう罪深い〉という歌詞には、いかに彼女が霧山を魅力的に感じているかわかりやすく描かれている。彼自身は第三者からみれば、フェロモンを醸し出すセクシーな男性像とは異なるようにも思えるが、それでもなお「公然の秘密」がどこか妖艶なサウンドであるのは、あくまでも三日月からの視点で描かれているからだろう。