WANIMAが明かす、万人に音楽を届けるための準備と覚悟「僕たちだけのWANIMAじゃない」

WANIMA、万人に音楽届けるための覚悟

悔しさが僕らを突き動かしてる

一一WANIMAの良さって、テレビだと誤解されやすいと思うんですよ。それは自分たちでも感じます?

KENTA:はい。「なんでこう伝わっちゃったんだろう?」と思う時もありますけどね。

一一辛い思いを吐き出してる歌ばかりなのに、響きが明るいから、なんとなくパーティーソングみたいに扱われてしまう。「不本意だなぁ」とは思いますが、そこで反発しないですよね。

KENTA:反発しない。そういう悔しさが僕らを突き動かしてる。日々のいろんなこと、もっとひっくり返してやろうって。そうじゃないって思うこと、怒りとか、不甲斐ない気持ちって、僕たちの原動力のひとつです。

一一それが結果的にすごく明るいものに見えちゃうのは、なぜなんでしょう?

KENTA:……ねぇ?

FUJI:「ねぇ?」って(笑)。

KENTA:昔から見てるファンの人たちは違うと思いますけど、初めての人には、ただ元気な3人組に見られがちで。でも、そこでムキになって反論したり、逆に「今日は何食べましたよ〜。自撮り〜。」みたいなことばっかりSNSに上げたり、そういうのはしたいと思わないですね。音楽やってるんやったら、やっぱり曲を創って、CDを出して、ライブをしたい。それで答え合わせをお客さんとする。それが正解やなと僕たちは思ってます。

一一正しいし、強いなと思います。

KENTA:ありがとうございます。

一一単純に不思議なんですけど、なんでそんなにタフでいられて、大きな夢を追えるんですかね。前にも言ったけど、ライブハウス出身で「メットライフドームでやりたい」って豪語するバンドを、私はあんまり見たことがない。

KENTA:「メットライフドームでやりたいんだぜ!!」って強く想っていたというよりは、「最初お客さん2~3人のバンドが、あれだけ大きいメットライフドームでもやれるんだ」っていうところ。そこで「あぁ、だったら俺たちもやれるかもしれない」って思って欲しかった。驚いて欲しかったっていうのはありますね。

一一それは、夢を見せたい、夢を見てもいいんだよ、っていう感覚?

FUJI:そうですね。

KENTA:うん。『Are You Coming?』でも歌ってましたけど、冷めてスカしてるんじゃなくて、もっと熱く。どんな小さなことでも。「明日何食べる?」とか「どこに行く?」とかでもいいんですけど、些細なことでもちゃんと楽しみを見つけていければ。それをひとつWANIMAのライブで見つけてもらえるなら、僕たちも音楽をやってる意味があるなぁって思いますね。それを実感できたら、喜びも二倍になるし。その繰り返しです。

一一そういう時にKENTAさんは〈一度きりの人生〉〈命は一回きり〉と歌いますよね。その死生観は昔から一貫してる。

KENTA:そうですね。その気持ちは年々強くなってます。やっぱり僕で言ったら、大好きだった母親代わりの婆ちゃんが去年いなくなったり。FUJIくんだったらお父さんやお母さんが亡くなってたり……。

FUJI:(苦笑)びっくりするくらい健在です!!

KENTA:(笑)。誰かひとりでも大切な人だったり、犬でもいいんですけど、いなくなったりすると、その気持ちが強くなっていきますね。

一一仕方ないんだよ、と諦めるわけじゃなくて。

KENTA:まぁ仕方ないこと……避けられないことではあるんですけど。できればその前に、間に合ううちに。自分たちが生きてるうちにやっていきたいなっていう想いが強くなってますね。

一一このアルバム、一曲目が〈産まれて死ぬまであとどれだけ?〉で始まり、ラストが〈だって生きてるうちに〉ですからね。

KENTA:あぁ、そうか。気づかなかった。でも毎回「この曲で最後になったら……」みたいな。向き合って創っています。

KO-SHIN:(強く頷く)僕の場合ライブは必ずそう想ってますね。「これが最後なら……」って。

KENTA:ライブって毎回同じ曲をやるじゃないですか。僕、ずっと想ってたんですよ。「ずっと同じ曲を何十年もやるアーティストって、どんな気持ちなんだろう?」って。でも自分たちがやってみたら、毎回同じ曲をやってても毎回違いますもんね。みんなあれにやられちゃってるんだなぁと思う。

FUJI:毎回表情が違うし、そういう意味でも全部が一回きり。

一一はい。あとシリアスな死生観だけじゃなくて、KO-SHINくんの名前がいきなり出てくる「シャララ」みたいな曲もあります。

KENTA:はい。これもアルバムならではの曲やなぁと思います。ライブでも、楽器を持たなくても歌えるような曲。サビはみんなで歌えて。

FUJI:みんなで手拍子したり。

KENTA:そう、手を叩きながら歌える曲。シングルには入れんけどアルバムやったらアリかもね、っていう曲をたくさん入れたかった。

一一ライブのフックになるような。ここに出てくる〈変わらない港町〉っていうのは二人の故郷ですよね。ルーツになる景色がちょくちょく出てきますけど。

KENTA:地元の存在はおっきいですね。もうほんと鮮明に覚えてます。自分たちの街、あの港町のどこに何があって、あそこに誰がいて……っていうのは今でも頭の中で辿っていける。

一一ドキュメントで見ましたけど、けっこうな田舎町ですよね。そういう環境で育ったこととWANIMAの音楽性って、繋がっていると思いますか。

KENTA:繋がっていると思います。人口が少ないぶん一人ひとりの関係性は濃いものがありました。スタジオもないからパチンコ屋の跡地を自分たちで改造して創ったり。結局自分たちで動いて発信しないと何も変わらないっていうことに気付かされる土地だったので。僕たちが悪い方向ばかり進むんじゃなくて、音楽と出逢って音楽をずーっと365日やってこれた学生時代っていうのは、今に繋がってると思います。

一一わかりました。今後はツアーが控えていて。25万人動員予定とすごい数字が出ていますけど、ライブの魅せ方は変わっていきそうですか。

KENTA:魅せ方は、ほんとシンプルです。来た人に楽しんで欲しいっていうのと、ちゃんと届けたいっていう、そこは変わらずに。ただ、今までWANIMAがやってこなかった新しいこともやりたいです。それは別に難しいことじゃなくて、たとえばFUJIくんがやってたモノマネパートをKO-SHINがやるとか。

一一いきなりハードル高い(笑)。

KO-SHIN:……それはやめてほしか……。

KENTA:3人がそれぞれ新しい扉を開いていけたらいいなと思います。で、これは違うと思ったらお客さんにはすぐ言って欲しいです。

FUJI:大至急止めますので(笑)。

(取材・文=石井恵梨子/写真=池村隆司)

2ndアルバム『COMINATCHA!!』

■リリース情報
2ndアルバム『COMINATCHA!!』(読み:カミナッチャ)
10月23日(水)発売

通常盤【CD】¥3,000(税抜)
初回限定盤【CD+DVD】¥4,000(税抜)

<収録内容>
M1.「JOY」
M2.「夏のどこかへ」(三ツ矢サイダー2019 CMソング)
M3.「Like a Fire」
M4.「BOUNCE」
M5.「GONG」(劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』主題歌)
M6.「宝物」
M7.「シャララ」
M8.「BROTHER」
M9.「Drive」(映画「OVER DRIVE」主題歌)
M10.「Baby Sniper」
M11.「渚の泡沫」
M12.「ここに」
M13.「りんどう」
M14.「アゲイン」(TBS金曜ドラマ「メゾン・ド・ポリス」 主題歌)
M15.「GET DOWN」

・初回限定盤仕様
1CHANCE DISC(DVD)+スペシャルフォトブックレット+三方背BOX
・初回生産限定仕様(通常盤・初回限定盤共通)
「藤くんレッド」仕様(赤色のカラーケース)
※初回生産後生産分についてはクリアケース

・先着購入特典
「COMINATCHA!!」オリジナルステッカー  
※対象店舗、 デザインなどステッカー詳細は後日発表

WANIMA オフィシャルサイト

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