スピッツ、ヒゲダン、indigo la End、ザ・クロマニヨンズ、ピロウズ…独自の表現を突き詰めた新作

the pillows『Happy Go Ducky!』(通常盤)

 山中さわお原案による映画『王様になれ』、初の横浜アリーナ公演『Thank you, my highlight05“LOSTMAN GO TO YOKOHAMA ARENA”』(10月17日)と結成30周年イヤーを飾るイベントが続いているthe pillowsからニューシングル『Happy Go Ducky!』が到着。表題曲は、バスケットボールを題材にしたTVアニメ『あひるの空』(テレビ東京系)オープニングテーマ。厚みのあるギターアンサンブル、しなやかなバンドグルーヴとオルタナの匂いをたっぷりと含んだアレンジメント、そして、“どんな状況であっても、なりたい自分を目指して進もう”というメッセージを掲げた歌が印象的なこの曲は、どこを切っても“これぞthe pillows”と呼ぶべき楽曲に仕上がっている。30年目を迎えてもなお、瑞々しさを切実さを失うことがないバンドのあり方に、改めて心を打たれる。C/Wには、ストレンジなポップセンスを反映させた「Night owl」、さらに「ストレンジカメレオン」「Funny  Bunny」といった代表曲のライブ音源を収録。

indigo la End『濡れゆく私小説』(通常盤)

 先行配信された「はにかんでしまった夏」、ドラマ『僕はまだ君を愛さないことができる』挿入歌の「小粋なバイバイ」を含む、indigo la Endの5thアルバム『濡れゆく私小説』は、川谷絵音のソングライティングセンス、メンバーの優れたプレイヤビリティなど、このバンドの特性が増幅された作品となった。軸になっているのは、繊細な叙情性をたたえた歌詞、洗練度の高さと斬新なアイデアが同居したアレンジメント、そして、高い技術と豊かな表現力を共存させた演奏。つまり本作には、高い音楽性と歌モノとしての奥深さが絶妙なバランスで融合しているのだ。さらに特筆すべきは、川谷の歌。自らが作り出す高難度の旋律をナチュラルに歌いこなし、そこに奥深い感情表現を加えたボーカルは、本作によってひとつの高みに達している。

indigo la End「はにかんでしまった夏」

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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