森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.168
KREVA、向井太一、りぶ、TEE……刺激的なチャレンジを続ける男性アーティストの新作
15周年を迎えたKREVAの“ミックステープ”をテーマにしたオリジナルアルバム、強いメッセージと快楽的なグルーヴを共存させた向井太一の3rdアルバム。刺激的なチャレンジを続けることで、自らのキャリアを更新し続ける男性アーティストの新作を紹介!
ソロデビュー15周年を迎え、1月から9月まで連続リリース中のKREVA。その第10弾となる本作は、通算8作目となるオリジナルアルバムだ。タイトルの『AFTERMIXTAPE』は“ミックステープ”(本来は“DJがキュレーションした楽曲を集めたアイテム”の意味)と“アフターミックス”(数種類のコーヒー豆を焙煎して混ぜる製法)を組み合わせた造語。この言葉通りに本作は、意外性に富んだアーティストとのコラボ、ビートと言葉の新たなケミストリーがたっぷり楽しめる作品に仕上がっている。KREVA自身の最新モードを反映させた新曲「敵がいない国」「アイソレーター」、NulbarichのJQをフィーチャーしたメロウかつエッジーなミディアムチューン「One feat. JQ from Nulbarich」、宇多丸、小林賢太郎とともに制作されたエキゾチック&ジャジーなヒップホップトラック「それとこれとは話がべつ! feat. 宇多丸, 小林賢太郎」など12曲を収録。トータルタイム約32分というタイトさを含めて、“いまオリジナルアルバムを出す意味”が徹底的に考え抜かれた作品である。
TVアニメ『風が強く吹いている』エンディングテーマとして書き下ろされた「道」、配信リリース曲「I Like It」がスマッシュヒット。さらに中国3都市と韓国をサーキットしたアジアツアー、ir、tofubeats、雨のパレードをゲストに招いたツアーを成功させるなど確実に活動の規模を拡大している向井太一から、3rdフルアルバム『SAVAGE』が到着。LA在住のプロデューサーKero One、神戸発のエレクトロユニットOpus Innなど国内外のクリエイターが参加し、エレクトロ〜R&B〜ヒップホップを軸にした独創的なハイブリッド感覚はさらに進化している。特筆すべきは日本語の響きをグルーヴさせるセンス。家族に対するアンビバレンツな思いを刻み込んだ「Voice Mail」“誰に何を言われても、自分を貫く”という強い意志を反映させた「最後は勝つ」など、直接的な感情を現代的なポップスに昇華するテクニックもまた、アーティスト・向井太一の武器だろう。