Suchmos、念願の“横浜スタジアムワンマン”で見せたバンドの現在地

Suchmos念願の横浜スタジアム公演を振り返る

 メロウなグルーヴの曲を連投して観客をゆらりと揺らしたところで、「Hit Me, Thunder」、「Pacific Blues」が続く。このあたりも“スタジアム”という場所で想像するような高揚感、カタルシスがあるサウンドとは一線を画す曲かもしれない。8月の『SUMMER SONIC 2019』でマリンスタジアムに登場した際も、フェスという不特定多数の、あるいは洒落たヒットチューンを期待する観客の前で、挑戦的あるいは挑発的にこの「Hit Me Thunder」のジリジリと静かに燃えるサイケデリアを叩きつけ、面食らった人もいたと思う。しかしこの横浜スタジアムでの「Hit Me, Thunder」、そしてドラマティックにブルージーにアレンジされた「Pacific」は、6人の内ではじまった心地よいバイブスが、その手の内を離れたところで時に波乱を巻き起こしながらも力強く響いていっている、そんな彼らの軌跡を語る曲として必然的にエモーショナルに伝えるライブのハイライトになっていた。

(撮影:Shun_Komiyama)

 「A.G.I.T.」ではじまった終盤は野太いビートとロッキンなギターが冴え、YONCEの歌で先導していくアンセム曲が並び、照明の演出もド派手となった「808」、そしてスタジアムを燃え上がらせるのにぴったりの「VOLT-AGE」で本編を締めくくった。彼らにとってもファンにとっても、“いつか横浜スタジアムで”という話をしていたという1stアルバム『THE BAY』をリリースした2015年当時に想像したであろうスタジアムで鳴るロックミュージックと、現在地で鳴らしているSuchmosのロックミュージックは、もしかしたら違いもあるかもしれない。しかしながら、誰かに求められるポピュラーでキャッチーな音楽の広がりに寄ることなく、純粋に自分たちの音楽的な好奇心を満たしながらこの会場をソールドアウトさせた事実は、とても大きい。YONCEがMCで語った、「初めて6人でステージに立った時と変わらない」というそのスタンスを、気負いなく全方位のSuchmosサウンドで魅せた公演となった1日だろう。

撮影:Shun Komiyama
撮影:Shun Komiyama
OK(撮影:Shun Komiyama)
撮影:Shun Komiyama
撮影:Shun Komiyama
TAIHEI(撮影:Shun Komiyama)
撮影:Shohei Maekawa
KCEE(撮影:Shohei Maekawa)
撮影:Yosuke Torii
撮影:Yosuke Torii
撮影;Shun Komiyama
撮影:Shun Komiyama
撮影:Shun Komiyama
撮影:Kayo Sekiguchi
previous arrow
next arrow
 
撮影:Shun Komiyama
撮影:Shun Komiyama
OK(撮影:Shun Komiyama)
撮影:Shun Komiyama
撮影:Shun Komiyama
TAIHEI(撮影:Shun Komiyama)
撮影:Shohei Maekawa
KCEE(撮影:Shohei Maekawa)
撮影:Yosuke Torii
撮影:Yosuke Torii
撮影;Shun Komiyama
撮影:Shun Komiyama
撮影:Shun Komiyama
撮影:Kayo Sekiguchi
previous arrow
next arrow

(文=吉羽さおり)

■配信情報
ライブ音源『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA STADIUM 2019.09.08』
配信日:2020年1月15日(水)
形態:ダウンロード & ストリーミング
配信はこちら

<収録曲>
01. YMM
02. STAY TUNE
03. In The Zoo
04. MINT
05. TOBACCO
06. Hit Me, Thunder
07. Pacific Blues
08. VOLT-AGE
09. Life Easy

Suchmos オフィシャルサイト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる