乃木坂46『真夏の全国ツアー』最終日はグループの転換点に? 明治神宮野球場に刻まれた成長の軌跡

 ファンはもちろん、メンバーからも語り継がれているのが、2017年の神宮だ。アンコールの「インフルエンサー」でサプライズ登場したバナナマン・日村勇紀扮するヒム子、初の東京ドーム公演の発表などトピックは多くあるが、序盤に設けられた3期生、2期生、1期生とバトンを繋ぐように披露されたブロックは、多くのファンを歓喜させた。なぜならば、“不遇”と言われ一度も揃うことのなかった2期生が、初めて全員でステージに立つことが出来たからだ。「バレッタ」「嫉妬の権利」「きっかけ」など、2期生にとって思いの詰まった楽曲の披露に、会場は大きな感動に包まれた。

 昨年は、明治神宮野球場と秩父宮ラグビー場の2会場を行き来しながらの“シンクロニシティライブ”という偉業を成し遂げた。単独ライブを2会場で同時開催するというのは、これまでに類を見ない初の試みだ。メンバーは会場を自転車で移動し、選抜とアンダーが常にステージに出ずっぱりの状態。同じ曲でも会場によって立ち位置が違うといった、メンバーにとっては今まで以上に過酷な神宮となった。乃木坂46の神宮に毎年雨は付きものだが、この年の初日はメンバーも笑ってしまうほどの本降りに。北野日奈子の休養明け初のステージでもあった。

 今年の神宮ファイナルは、キャプテン・桜井の卒業コンサートも兼ねた開催となる。最初で最後のソロ曲「時々 思い出してください」にも表れている伸びやかな歌声、キレのあるダンスパフォーマンスが見られなくなるのは寂しいことであり、何よりこれまで桜井が務めていたグループのMCが秋元真夏へと変わるということも、乃木坂46のカラーがまたガラッと変わっていくであろう。感動と同時にグループの転換点を感じられる卒業ライブになりそうだ。

 また、老朽化した神宮と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えて建設する明治神宮外苑地区の再開発が、2021年に着工となる(神宮球場と秩父宮ラグビー場の入れ替え、31年にも完了)。全体の完成は10年後の2031年。早ければ、乃木坂46の神宮開催も2020年をもって一旦の区切りを迎える可能性もあるということだ。様々な思いとグループの歴史が染み付いている神宮。今年もまた、聖地で一夏の思い出が紡がれていく。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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