THA BLUE HERB、Age Factoryらが集う混沌 世代とジャンルを横断する『夏の魔物』への期待
2006年から毎年開催されて、今年で14回目を迎える音楽フェスティバル『夏の魔物』。当時高校生だった成田大致が主催者となり、“手作りロックフェスティバル”という異名を持ちながら、ブッキングするアーティスト、打ち出すテーマやステージ割り、運営のあり方含めて、他のフェスにはない独自性と混沌とした評価を作り出した伝説的イベントである。
2016年までは青森で開催されたこのフェスは、2017年には青森を飛び出して初めて関東で開催、2018年にはさらに規模を広げて、東京と大阪の2箇所で開催された。2019年の開催場所は埼玉と大阪。大阪会場は2018年と同様、味園ユニバース。元キャバレー場ということもあり、存在感のあるミラーボールとギラギラした装飾が『夏の魔物』と同じくらいのカオスさを醸し出している。埼玉会場は遊園地や動物園などが融合したレジャーランド・東武動物公園で、これまた普通のロックフェスとは違うことを予感させる開催地となっている。
さて、近年の『夏の魔物』では単なるロックフェスには留まらず、アイドルやプロレスラー、文化人など、他のフェスではあまり見られないラインナップを揃えており、その化学反応から、毎年何かしらの事件が起こることでも有名なフェスとなった。しかし、今年はコンセプトを一新。“原点回帰”を掲げており、ロックやヒップホップを中心に、オーガナイザーの成田大致が本気で吟味した、“今、絶対に聴くべき”アーティストを集めたラインナップとなっている。
令和元年に当たる今年、様相を一新した“魔物元年”として新たなる一歩を踏み出す想いが込められているように感じる『夏の魔物』。そんな今回のラインナップで言えるのは、昭和・平成・令和という流れの中で、それぞれの大きな影響を与えた(今後与えるであろう)アーティストがブッキングされていることだ。次世代のシーンを築きあげる若手がいて、ひとつの時代を築き上げたレジェンドもいて、一日で日本のロックの歴史を体感できるようなラインナップになっている。