山崎はるかが語る、自分であることを手放す“自分らしさ”「人と同じじゃなきゃいけないなんてない」

山崎はるかが語る、“自分らしさ”

初めての作詞テーマは“ファンへの感謝”

ーーそんな今作の中には、自身初の作詞曲「ヒヤシンス」も収録されています。こちらは「遊園地」のテーマ性からちょっと離れた作品ですが、どんな思いが込められていますか?

山崎:まず作詞をした経緯からお話すると、スタッフさんに「自分でも書いてみたら?」って提案されたんです。でも未経験だし、自信もなかったので、最初は悩みました。私が書くより、その道のプロにお願いしたほうがいいんじゃないかって。そしたら「いい歌詞はプロにも書けるけど、思いを素直に込めるのは本人にしかできない」ってスタッフの方に言っていただいて、そこで「確かに……」と心が動きましたね。歌詞のテーマはいろいろ考えて、最初は「ファンの方への感謝」にしようと思ったんです。でも歌手デビューしてからまだ1年強で、それは早いかなというのがあり、それよりは「私がみんなを導いていくね」とか「ついてきて!」みたいな内容がいいかなって。

ーーなるほど。

山崎:あとは、じゃあそんな「私」の源はどこから来ているのかっていうのもファンの方に知ってもらいたくて、亡き母との思い出や母への想いみたいなところも詞の中で素直に書き綴っています。私、「遊園地が一番楽しい場所」っていうのもそうだし、料理や漫画好きになったのもみんな母の影響が大きいなって。当たり前ですけど自分のルーツとして切っても切り離せない存在だし、そんな親からどれほど愛をもらったか……というのも分かってもらうために、私しか知らない、あえてリアルな描写も入れました。もうずいぶん時間が経ったし、今書いても重たすぎないかなって。

ーーそういうことだったんですね。初めての作詞作業に対する感想はいかがでしたか?

山崎:本当に難しかったです。バラードなので音数が少なく、そこに言葉をはめていくとなると「これじゃあ音符が足りないな」とか。作詞をするって決まってから書き出すまでに、テーマを考えたり断片的に浮かんだワードをメモしたりしていたんですけど、思うようにはいかなかったですね。作詞期間は約1週間で、家だといろんな誘惑に勝てないので主に電車で、携帯のメモ帳を使って集中して書きました。

ーー「ヒヤシンス」というタイトルは何を意味しているのでしょう?

山崎:歌詞を分かりやすくしたぶん、タイトルはちょっと詩的というか、カッコつけたいなと(笑)。ヒヤシンスの花言葉に「悲しみを超えた愛」というのを見つけたときにコレだ! と閃きました。「ヒヤシンス」という名前の響きも曲調に合ってる気がして、迷うことはなかったです。

ーーこれを機に作詞は続けてみたいと思いますか?

山崎:機会があればやりたいです。ただ、ストレートな歌詞というよりもワケの分からない曲を書いてみたくなりました(笑)。私にしか分からないような言葉がループしてるとか、ちょっとした電波曲みたいなのも楽しそうですよね。もしくはオタク曲が書きたい!(笑)。普通の人には理解されないオタクの人だけに伝わるマニアックな歌詞をいつか書いてみたいです。

“自分は自分のままでいい”と思えるきっかけになった

ーー(笑)。では、本当に振り幅の広い全12曲が入った今作のタイトル『C’est Parti!!』についても教えてもらえますか?

山崎:フランス語で「さぁ、行こう!」といった意味なんですけど、私って、みんなに支えてもらうというよりはみんなの先頭に立って引っ張っていきたいタイプなんです。だから今回は遊園地の案内人になった気持ちで、この言葉をフランス語の中から見つけて名付けました。昔からフランス語の語呂やかわいいニュアンスが好きなのもあって。

ーー冒頭にも少し話題に出た今回のジャケットですが、胸元の「HARUKA.Y」のネームプレートはそういう理由だったんですね。

山崎:はい、テーマパークのキャストのイメージです!

ーーそれにしても今回のジャケット写真はポップでキュートでカラフル。鮮烈なアートワークになりましたね。

山崎:コスチュームは、私が紙でデザイン画を描いて、それを衣装さんに作ってもらったんです。遊園地に売ってそうなお菓子をいっぱい付けたいなと思って、ワンピースの首元にはポップコーンのモチーフを付けてもらいました。他にも、ジェットコースターの線路、アイスクリームが垂れてるところ、風船、観覧車……いろんな「遊園地」の要素が詰まっているのでぜひ注目してほしいです。中でもイチ押しは腰のシートベルト。普通の黒いベルトかと思いきや、本物のアトラクションのシートベルトなんです。なのでちょっと重いんですけど、どうしても「本物」を付ける夢を叶えたくて(笑)。

ーー面白いアイデアですね。山崎さんはそういうビジュアル面も含め、現在の女性声優アーティストの中で独自の方向性を進んでいる印象があります。

山崎:今回のジャケ写やアー写は、他の女性声優さんがあまりやってない「金髪」って部分を生かせたなと思うんですけど、誰もやってないような方向にとことん振り切って、キャラクターっぽく見てもらってもうれしいなって。全然興味のなかった人が、CDショップで「こういう世界観好き」ってジャケ買いしてくれてもありがたいし。

ーーなるほど。ちなみに髪色は常に明るめなんですか?

山崎:デビューしたての頃は少し暗めにしてたんですけど、ちょっと生きづらい感じがして(笑)。もともと根暗なので、髪が暗いと心まで沈んでしまうんですよ。だから基本は明るめ。私、小2から髪を染めていて、今まで真っピンクとか真紫っていうのもやったことがあって……。うちの地元、地域的に周りの子もみんな髪を染めてて1人だけ浮くとかはなかったし、私も髪色をイジるのは嫌じゃなかったので、自分からもお願いして定期的に染めてもらっていました。

ーーそうだったんですね。あと声優さんのアーティストデビュー作は、キャラソンではない「自分」の歌の表現に最初悩む人も多いと思うんです。そんな中、山崎さんは1stアルバムからここまで練り上げたコンセプトで表現しているのがすごいなと。

山崎:答えになってるか分からないんですけど、歌に関しては「自分」がなくていいやと思ってて。私、普段からカラオケに行ってもモノマネしかしないし、仕事でもキャラソンのキャラとしてでしか歌ったことがないんです。だから「私」として歌う瞬間は人生で本当にない。でもそのどれも自分だし、私の歌だし……っていう気持ちがずっとあって。だから今回も全部の曲に主人公を立てて、その目線で歌っているんです。「ヒヤシンス」でさえも「こういう子」というのを決めて、その子の物語として歌っています。

ーーどれも自分だし、自分じゃない。

山崎:だから言ってしまえば全部「CV:山崎はるか」みたいな。そこから好きな子を選んでもらえたらいいなって。

ーーでもそのほうが、ジャンルやスタイルを狭めることなく表現できそうですしね。

山崎:はい。友達の声優アーティストを見てると、1本のちゃんと確立した芯みたいなものがあって、自分もそういうふうにならなきゃって最初はちょっと焦った時期もあったんです。でも今回のアルバムを作るにあたって、歌いたい楽曲をピックアップしていったときに、やりたいことを1つに絞るなんてやっぱ無理だなと。人と同じじゃなきゃいけないなんてない、自分は自分でいいんだなって、今作はそう思えるきっかけにもなりました。

ーーそれによって、この突き抜けるような楽しいアルバムが完成したんですね。

山崎:歌に関してはもっとスキルのある人はいるし、まだ自信が持てないんですけど、「これを聴いて元気になってほしい!」とか「とにかく楽しい5分間(1曲)を作る」みたいな自信はちょっと出てきています。ライブに関しても、自分が上手く歌えたかどうかというより、みんなが笑っていたか、お客さんのどういう思い出になったかというのを今は重視していて。「楽しかった」とか「最高の1日になった」って言われたらやっぱり一番うれしいし、私のこの有り余る元気を、みんなにちょっとでもお裾分けできたらいいなって思っています。

(取材・文=川倉由起子)

山崎はるか『Cʼest Parti !!』

■リリース情報
1stフルアルバム『Cʼest Parti !!』
発売日:2019年8月28日(水)
¥2,900(+税)
発売元・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

<CD収録内容>
01. パンピーナ!
作詞:唐沢美帆 作曲 : 佐藤陽介 編曲:エンドウ.
02. キセキ的☆スマイリュージョン
作詞:おぐらあすか 作曲 : 佐高陵平 編曲:佐高陵平
03. Dark Sweet Nightmare
作詞:こだまさおり 作曲 : エンドウ. 編曲:エンドウ.
04. ChuChuパフェ☆SP
作詞:KOTOKO 作曲 : 佐藤陽介 編曲 : 佐藤陽介
05.僕ら、駆け行く空へ(2019 HH Rebuild)
作詞:KOTOKO 作曲 : 浅野高弘 編曲 : 彦田元気
06. Supersonic Mighty Dream
作詞:こだまさおり 作曲 : 齋藤真也 編曲 : 齋藤真也
07. Dragon Dance
作詞:山本メーコ 作曲 : 彦田元気 編曲 : 彦田元気
08. ゼンゼントモダチ (TVアニメ『魔法少女サイト』エンディングテーマ)
作詞 : 山本メーコ 作曲: 佐藤陽介 編曲 : 佐藤陽介
09. ヒヤシンス
作詞 : 山崎はるか 作曲 : 佐藤陽介 編曲 : 宮崎京一(KEYTONE)generatiONmaster(KEYTONE)
10. 金曜日のBambi
作詞 : 山本メーコ 作曲 : 伊藤"三代"タカシ 編曲 : 伊藤"三代"タカシ
11.キャラメル
作詞 : 山本メーコ 作曲 : Yo-Hey(KEYTONE) 編曲 : 清水"カルロス"宥人(KEYTONE)
12. おいで Brand-new World!
作詞 : 佐高陵平 作曲 : 佐高陵平 編曲 : 佐高陵平

<初回生産分特典>
アルバム購入者先行ライブチケット応募券封入(シリアルコード付)
『HARUKA YAMAZAKI LIVE TOUR 2019 ~C'est Parti !!~』
10月19日(大阪)
10月20日(名古屋)
10月22日(東京)
受付期間: 2019年8月28日(水) 10:00~ 2019年9月3日(火)23:59

■ツアー情報 
山崎はるか ワンマンライブツアー
『HARUKA YAMAZAKI LIVE TOUR 2019 ~C'est Parti !!~』

<開催日時/会場>
10月19日(土)大阪・梅田Shangri-La
開場:17時00分 開演:17時30分
10月20日(日)名古屋・Live Hall M.I.D
開場:16時30分 開演:17時00分
10月22日(火・祝)東京・TSUTAYA O-EAST
開場:17時00分 開演:18時00分

アルバム『Cʼest Parti !!』購入者限定先行受付
受付期間: 8月28日(水)10:00~ 9月3日(火)23:59

<チケット料金>5,200円(税込・別途1ドリンク代必要・オールスタンディング)
<問合せ先>イープラスカスタマーセンター:0570-06-9911(受付時間10時~18時・土日祝含む)

■ラジオ番組情報
文化放送・超!A&G+『山崎はるかのC'est Parti !!』
放送局:文化放送・超!A&G+
放送日時:毎週月曜日 23:30 - 24:00(※動画付き生放送) 
出演者: 山崎はるか
番組宛メールアドレス:pyon@joqr.net

■関連リンク
山崎はるかオフィシャルサイト
山崎はるかTwitter
山崎はるかInstagram

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