香取慎吾から生まれる作品は自身のDNAを持った化身のよう すべての創作物にも通じるテーマ

 香取慎吾が、『週刊文春WOMAN』2019夏号の表紙画を描いた。香取が、表紙画を手がけたのは、新年号、GW号に続いて3回目。テーマは、新年号が“New Year Woman”、GW号が元号の変わるタイミングだったということもあり“New Era”、そして今回の夏号は“We New”だという。

『週刊文春 WOMAN vol.3 夏号』

 「反対から呼んでもWe Newになるのが面白いと思いました」。ロングインタビューに答えた香取はそんなふうに語る。順を追って見ても、逆から見ても、新しい私たち……。香取の作品は、タイトルを後付けするものが多い。それでも描かれたものやタイトルを見ると、必然性を感じるし、ついつい深読みをしたくなる。“この時期の彼が、この作品を描くということは、もしかしてこんな思いがあったのでは……!?“と、アイドルとして人生の多くを私たちに披露してきた彼だからこそ、そんなふうに作品を咀嚼して楽しむことができるのだ。

 そんな彼が、“New”というキーワードのもと、「3個目もその流れでいきたいな」と、タイトルから決めて描いたという“We New”。「今回の表紙画は、今までで一番、短時間で仕上がったかもしれない」と、わずか10日で描き終えていたと話す。赤、黄、白、青、黒と無数の飛沫と、緑の靄のようなものが舞う空間に、ピンクの大きなしずく型のようなモチーフが前後・左右に半分ずつ描かれた“We New”。

 このしずくは「涙」のイメージにも通じているという。それも、幸せなときに流れる涙。「面白いのは、嬉し泣きをする時って、絶対に一人じゃない……“I”じゃなく、“We”でシェアできるような、幸福のスクラム感があるんです」と、自身もユニフォームの選考委員やスペシャルサポーターとして深く関わっているオリンピック・パラリンピックやスポーツを例に出して、わかりやすく語る。

 さらに、しずくには「“精子“感もある(笑)」とも。そして「約一億の精子の中で、一匹だけが卵子にたどり着いて生命になる。僕が“精子“に込めている思いは、『人間は、競争しあって生きていかなきゃいけないけど、元々は誰もが一番、生まれた時から一等賞なんだよ』ってことです」と続ける。

 客席回転劇場・IHIステージアラウンド東京で開催した『サントリー オールフリー presents BOUM ! BOUM ! BOUM ! 香取慎吾NIPPON初個展』。そこでは、香取の内部に入っていくというのがテーマだったが、その入口はスボンのチャックだった。宇宙空間に香取の遺影写真が浮かぶシーンや、「ようこそ世界へ」とママの格好をした香取が産んだばかりの何かを抱くシーンも。そして“We New”という作品。今の香取を見ていると、新しい地図と共に生まれた新しい自分を、自分自身で育てているようにも見える。

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