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『Rouge』インタビュー

初来日直前、マレーシア出身シンガーYunaインタビュー 新作『Rouge』が示すアイデンティティ

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 マレーシア出身で現在はLAを拠点に活動するシンガーのYunaが、8月31日と9月1日の2日間にわたり横浜赤レンガ地区野外特設会場で開催される『Local Green Festival』にて初来日する。また、7月にYunaがリリースした新作『Rouge』より、〈あなたは私の生涯の人ではない〉と歌う「(Not) The Love Of My Life」のMVが公開された。

 今回、初来日直前のYunaに電話インタビューを行うことができた。アダム・シンクレア(映像ディレクター)との結婚が音楽に与えた影響や多彩なコラボレート、アルバムのコンセプトなどに触れながら、マレーシア出身でイスラム教徒である自身が大事にしているアイデンティティについても語ってもらった。(編集部)

Yuna – (Not) The Love Of My Life

アメリカに行く結論を下して、正しかったと思っている

ーーあなたの音楽性のルーツを聞きたいのですが、どんな音楽を聴いていましたか。また、歌い始めたきっかけを教えてください。

Yuna:最初に歌を歌いはじめたのは6歳の頃。TVのCMなどでジングルを口ずさんでいて、「私ってちゃんと音を合わせて歌えるんだ」と思ったの。「あっ、このCMソングを歌っている人と同じように歌える、私」って。音楽にちゃんとピッチを合わせて歌えるということがどういうことなのか、その時に気づくことができて歌うことの面白さを知った。それから、母が私のことをタレントショーなどに出演するよう勧めてくれるようになったわ。

ーー楽器も演奏されていたんですか?

Yuna:楽器に関しては、19歳ぐらいになるまで弾けなかったんだけど、19歳の時にギターを学んだの。そこからギターを使って作曲したり、人前でパフォーマンスなどを始めたのが19歳か20歳ぐらいの時で、音楽家としての活動もそこからスタートしました。

ーーマレーシアのグラミー賞とも言われる『Anugerah Industri Muzik 17』(2010年)で4部門の受賞を記録するなど大活躍されていたマレーシアの音楽シーンから、世界に視野を広げたタイミング、ターニングポイントとなった出来事は何ですか?

Yuna – Crush ft. Usher

Yuna:マレーシアって素晴らしい国なの。気候もいいし、経済的にも安定しているし、国が安定しているから、ある程度ちゃんとしたことをしていれば仕事にもすぐ就くことができる。だからあまり国を出る人がいないのね。食べものも美味しいし。世界に出ているマレーシア人に聞いたら「マレーシアに帰って、マレーシアの料理食べたい」ってみんな言うのよ。だけど、私は音楽的にもっと成長したかったし、もっと大きなものを目指したかった。(マレーシアでは)同じプロデューサーと同じような音楽をずっと作り続けていたから、どんどん違う音楽にも挑戦したかった。

 アメリカに行く結論を下して、正しかったと思っているわ。音楽活動を始めた時から英語の音楽で何かしたいと思っていたんだけど、その英語の音楽がどこにも行き着いていなかったから。マレーシアにいてマレー語で歌って有名にはなったけど、たった3曲のマレー語の曲でしかない。30曲ぐらい英語で書いた曲があるのに、これらの曲をどうしたらいいんだろう? と思ったの。そして、これらの曲はアメリカの音楽業界にも通用するいい曲だと確信していた。インターナショナルなミュージックシーンにも通用するものだ、と思っていたわ。だから、トライしてみようと決めてその道を突き進んだの。いい機会にも恵まれたしね。

ーー『Rouge』を聴きましたが、全曲本当に素晴らしい楽曲でした。楽曲のタイプは様々なのに、アルバムを通して一貫性のあるストーリーが描かれているなと感じましたが、今作を制作するときに考えていたコンセプトやテーマなどを教えてください。

Yuna:このアルバムを作る時に、「もう私も大人になったし以前のアルバムで題材にしてきたことはあまり取り上げたくない」と思って、大人の女性が経験することを題材にしようと考えたの。たとえば、自分のアイデンティティについて。あとは、以前上手くいかなかった恋愛の話。大人になったら「あなたは私の生涯の人ではなかった」って自信を持って言えたりするでしょう? 今作のアルバムタイトル『Rouge』は、とても女性的でもあり、とても力強くて、女性を勇気づけるものになっていて、今の私が一人の女性としてどうありたいか、それに対してどう共感してもらえるのかということをテーマにしているの。

ーーサウンド面においても、ディスコ~アーバンメロウなものまで多様な音楽性を感じました。楽曲を作るときは、歌詞とメロディどちらから作ることが多いですか? また、今回のサウンドを作るときにどういうところを意識しましたか?

Yuna:その曲にもよるけど、私の場合は、歌詞から入ることが多いかもしれない。最初に思い浮かんだフレーズを歌いはじめて、その言葉とどんなメロディが当てはまるのか考えていくかな。フリースタイルみたいな感じで、同時にできることもあるしね。パズルみたいなもので、それが全部上手くハマると歌になるの。

大胆な色だって身に着ければいいじゃない

ーービジュアルや楽曲から強さと女性らしさの両方が伝わってきました。プライベートでは最近結婚したそうですが、結婚が音楽制作にもたらした変化はありますか?

Yuna:変化はあったし、結婚して安定したんだと思うの。やっと落ち着いて、自由に、プレッシャーも無く、ただ私の音楽を作っていくことを考えていればいい、という気持ちにさせてくれたわ。

 ハッピーだし、集中して自分の仕事にも音楽にもむかうことができる。しっかりサポートをしてくれる生涯のパートナーもいる。彼はあらゆる面でサポートをしてくれるわ。アイデアについて話し合ったりもするし……。

 このアルバムで何回か彼に助けられたことがあった。アイデアについてちょっと自信が無かったりすることがあった時に、彼が「いや、やった方がいい。そのまま進めればいいよ」って背中を押してくれたの。それが今回、音楽やミュージックビデオ、今やっているコンサートにおいても、形として全てに表れていることを感じるわ。私自身、自分がなりたいと思う人間になれたんだとやっと言える感じがしているの。

ーー『Rouge』やツアーの衣装、アートワークも全部赤で統一されていて、「現時点での自分の色を表現している」とコメントしていましたが、あなたにとってルージュ(赤)とはどういう色ですか?

Yuna:赤というのはとても大胆な色で、もっと多くの人達が受け入れたらいいのに、あまりみんなが挑戦しない色だと思うの。たとえば、私の文化圏の中では、赤い口紅をしているということは、必ず誰かに何かを言われることを覚悟していなければならない。「今日は赤い口紅をしているのね」って必ず言われるから。私のコミュニティ内にいる女の子達はみんな避ける色ね。「赤い口紅をつけると人にいろいろ言われるから」と口を揃えて言うの。それって残念なことよね。身につけたい色をつければいいし、大胆な色だって身に着ければいいじゃない、って思うのよね。

 私の母はわりと派手な色を身につけていた人で、とても自分に自信を持っている人だった。彼女は30年以上も赤い口紅や赤い服を着てきた。そんな大胆な色に対して、私も勇気と自信を持っていたい。それが、このアルバムの全体的なテーマにも繋がっているわ。

Yuna – Blank Marquee ft. G-Eazy

      

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