miletがドラマ主題歌で輝く理由 『偽装不倫』でも生まれる主人公との“共鳴”
『偽装不倫』の主演を務める杏は、「私演じる主人公”鐘子”の相手を好きな気持ち、恋に対するためらいや切なさが歌詞の中に散りばめられているな、と感じました」と語るが、「us」でmiletが歌ったのはまさに鐘子の心情そのものだった。〈好きだと言ってしまえば 何かが変わるかな 約束なんていらないから 抱きしめてよ〉には、本心を伝えられないもどかしさが、〈想いを伝えたら I want you 消えてしまうかな Will you stay?〉には、たった一言で恋が終わってしまうかもしれないという怖さが見え隠れしてただただ切ない。ドラマ主題歌の多くは、物語のテーマを代弁し、作品に確かな輪郭を与える役割を持つが、miletの手がける楽曲にはそれだけではない、主人公との深い絆すら感じられる。一瞬耳を掠めただけで聞き手を夢中にする声はもちろん、この“共鳴”こそ、miletがドラマ主題歌で輝く理由かもしれない。
今週7話が放映される『偽装不倫』は、いよいよ核心へ。丈から告白され指輪をもらった鐘子だが、彼の本心がわからず思い悩む一方、姉・葉子(仲間由紀恵)の不倫もバレそうになり、あわや修羅場!?と、ハラハラするような展開が待ち受けるという。鐘子と丈の心が惹かれ合うほど、「us」が切実に響いてくる点にも注目しながら、嘘から生まれた本物の恋の行方を見守りたい。
■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。