バーチャルYouTuber 富士葵が語る、“歌”を通じて伝えたいこと 「ファンの方々に恩返しがしたい」

VTuber富士葵が語る、“歌”を通じて伝えたいこと

個性豊かな“バーチャル音楽活動”の盛り上がり

ーー一方で、カップリング曲「まだ希望に名前はない」は、1stソロライブの発表をした生放送で、「サウンドは秦基博さんの『Rain』に近いかもしれない」と言っていた曲ですね。

富士葵:これまでの葵の曲は、ミックスの段階でも声を前に出してもらう曲が多かったと思いますけど、この曲ではわざと声を演奏に埋もれさせるようにしていただいているそうです。歌だけではなくて、曲全体のバランスを聴いたときに面白さが感じられるものになっていると思います。夏の夕方の帰り道に、土手や河原のような場所を歩きながら聴いてもらえたら嬉しいです。実は最初、「どうやって歌おうかな?」と悩んでいたので、この曲のプロデューサーの方に相談をしたら、「ユーミン(松任谷由実)さんや中島みゆきさんが、ラフに明るいバラードを歌っているようなものをイメージしてみたら?」と言っていただいて。それで一気にゴールが見えていきました。ユーミンさんや竹内まりやさんのような雰囲気がありながらも、3連符が続いたりするなど、新しさもある曲ですよね。

ーーそして通常盤には、classによる「夏の日の1993」(1993年発売)のカバーも収録されています。この曲は、選曲の段階から葵さんの幅の広さが感じられるような雰囲気でした。

富士葵:前回の「はじまりの音」のときにも、「人にやさしく」(THE BLUE HEARTS)をカバーさせていただきましたけど、今回も、90年代ごろにリリースされた男性が歌っている楽曲を、アレンジを変えてカバーしたいと思っていました。今回はリリースが夏なので、TUBEさんの「シーズン・イン・ザ・サン」のような、「夏の歌」をカバーしたいと思っていて。いくつか候補があった中からこの曲を選んでいただきました。この曲はBメロが綺麗で好きですし、歌詞も男性ならではの、包み隠さないストレートな気持ちがみえて面白いですよね。あと、この曲には、実はアンサーソング「冬の日の2009」があって、そこでは、「夏の日の1993」に出てくる2人が結ばれるんです!

ーーへええ!!

富士葵:そのストーリーを全部知ったうえで歌えたのもすごく楽しかったです。それに、今回のカバーは、アレンジや構成が変わっていて、原曲とは違うはじまり方になっていますし、サウンドもカフェで映えるような軽やかなものに変化しているので、それを生かすためにも、歌う際は感情を込めすぎないように気をつけました。そのうえで、何度も繰り返し出てくるフレーズのそれぞれに、心地よい変化をつけられるように意識していきました。

ーーこうしてお話を聞いていても、今回の『エールアンドエール』は葵さんの色々な表情が伝わるような、盛りだくさんの内容になっていますね。この作品のリリース以降は様々なライブの出演が決定していますが、たとえば『Vアニ 2019』や『Vサマ!』のようなバーチャル音楽フェスティバルが開催されるようになっているのは、バーチャルなみなさんの音楽活動が盛り上がっているからこそかもしれません。

富士葵:一緒に出演するみんなとはイベントで共演をして仲よくなることもありますし、最近はフェスやイベントが増えているので、「今度、あそこで会えるね!」とお話することも増えています。葵が活動をはじめた頃は、歌の活動をしている人はまだほとんどいなかったですけど、最近は、本当に色んな方が音楽活動をはじめていて。しかも、みんなそれぞれに個性があって、楽曲も歌詞の内容もその人ならではの魅力があってーー。葵はそれが、すごく素敵だと思っています。音楽活動を通して、これからもその人だけの魅力がどんどん広がっていってくれたら、葵もすごく嬉しいです。

ーーまた、10月5日にいよいよ開催される1stソロライブ『OVERTURE –序曲-』は、葵さんにとってもファンのみなさんにとっても、待望の公演になりそうです。

富士葵:今まで参加したリアルイベントは、どうしても東京での公演が多かったんですけど、遠くにお住いの方からは「ソロライブがあったら東京にも行くのに……」という声を、ずっといただいていたんです。そういう意味でも、ようやくソロライブが実現できて、今までのイベントでは会えなかった方とも会える可能性があるので、嬉しい気持ちでいっぱいです。

ーー昼公演であることにも、ファンの方への気持ちが込められているんですよね?

富士葵:遠くに住んでいる方々は夜の公演だと宿泊先も必要になるので、できるだけ、みなさんが来やすい時間帯にしたいと思っていました。それに、歌劇団の方々は仲がよくて、オフ会を頻繁にやっていたり、葵のイベント後にみなさんで打ち上げに行っていたりする方も多いので、ライブが昼間だと、その後、歌劇団のみなさん同士で楽しむ時間もできると思ったんです。

ーーファンのみなさん同士の繋がりも楽しんでもらえたら嬉しい、と。ライブの内容自体はどんなものにしたいと思っていますか?

富士葵:葵のことを歌で知ってくれた人も、普段の動画で知ってくれた人もいると思うので、ライブ全体を通して、「Aoi ch.」(公式YouTubeチャンネル)の雰囲気が伝わるようなものにしたいです! 内容はまだまだ絶賛考え中なんですけど、歌もたくさん歌いたいですし、それ以外の要素も楽しめるようなものにしたいと思っています。来てくれた方々が「本当に楽しかった!!」と感じられるようなものにする自信はあるので、みなさんも楽しみにしてくれたらとても嬉しいです。

(取材・文=杉山仁)

■リリース情報
『エールアンドエール』
発売日:2019年7月31日(水)
初回限定盤(CD+Blu-ray):¥2,037+税 
通常盤(CD):¥1,389+税

<初回限定盤収録曲>
1. エールアンドエール
2. まだ希望に名前はない
3. 難解!推理型ボイスドラマ
    「富士葵 BAR三毛猫 殺人事件」
4. エールアンドエール Instrumental
5. まだ希望に名前はない Instrumental

<通常盤収録曲>
1. エールアンドエール
2. まだ希望に名前はない
3. 夏の日の1993
4. エールアンドエール Instrumental
5. まだ希望に名前はない Instrumental
6. 夏の日の1993 Instrumental

<初回限定盤Blu-ray収録内容>
・エールアンドエール Music Video
・ユメ⇒キミ Live @ 富士葵生誕祭令和元年 (2019/6/15)
・密着列島 ~バーチャルタレント富士葵~
・レーベルの担当さんとお絵かきバトル!
・みんなへ ~葵の気持ち~

■レギュラー番組情報
2019年7月〜
毎週土曜日 27:30-28:00
TOKYO FM『ときのそら・富士葵「そらあおと!」』

■関連リンク
YouTubeチャンネル
Twitter
オンライングッズショップ「葵のおみせ」
ユニバーサルミュージック オフィシャルページ

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