『ダンベル何キロ持てる?』『コップクラフト』……夏の新作アニメ主題歌をピックアップ

 そして、作品とのタイアップという形を通じて、あらゆるタイプのアーティストを受容できるところもアニソンの楽しさ。今期のアニメであれば、新世代ラッパーのRude-αは『Dr.STONE』のエンディングテーマ「LIFE」で夏らしいフォーキーなトラックに乗せて〈生きる〉ことの意味と意志を力強くラップした。バルーン名義でボカロPとして名を上げつつ、現在はシンガーソングライターとして注目を集めている須田景凪は、『炎炎ノ消防隊』のエンディングテーマ「veil」で感傷を抱きながらも前に進む登場人物たちの姿に重なる歌を披露。今後のブレイクが期待される気鋭のアーティストたちが、自身の音楽性をまっすぐぶつけたアニメタイアップに挑戦している。

Survive Said The Prophet『MUKANJYO』(通常盤)

 そんななかで個人的に一押ししたいのが、エレクトロもヒップホップも包括した現代的なミクスチャーサウンドで支持を集める5人組ロックバンドのSurvive Said The Prophet。2018年には『劇場版 コードギアス 反逆のルルーシュIII 皇道』の主題歌「NE:ONE」やTVアニメ『BANANA FISH』のオープニングテーマ「found & lost」を担当したほか、ボーカルのYoshが音楽家の澤野弘之の作品に参加している縁もあって、アニメ作品とは何かと繋がりのある彼ら。今期は、中世ヨーロッパのヴァイキングたちの生きざまを描いたTVアニメ『ヴィンランド・サガ』(NHK総合)のオープニングテーマ「MUKANJYO」を歌っているのだが、これが戦いに明け暮れる荒くれ者たちの物語に相応しい激しさと、主人公のトルフィンがその争いの果てに辿り着く無常観の両方を併せ持った素晴らしいナンバーになっている。メロディアスかつ激情溢れるサウンドはもちろん、ベース/スクリーム担当のYudaiがラストに聴かせる壮絶な咆哮は鳥肌もの。バンドの音楽性と作品の方向性が合致したがゆえの傑作に、ぜひ心を震わせてほしい。

■流星さとる
流浪の人。アニメ・声優・アニソン関連のライター仕事、よろず承ります。お問い合わせは【ryuseisatoru@gmail.com】までどうぞ。

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