ジャニー喜多川の“Show must go on”の精神 『音楽の日』滝沢秀明×ジャニーズJr.企画への期待
「Show must go on」何があろうと、ショーの幕は開けなければならない――。
少年隊の『PLAYZONE』シリーズ、KinKi Kids堂本光一の『SHOCK』シリーズ、Hey! Say! JUMPやSexy Zone、A.B.C-Z、King & Princeと受け継がれてきた『JOHNNYS’ World』シリーズ……。数々のジャニーズ舞台で受け継がれてきた「Show must go on」というセリフ。今より、この言葉が重く響くときはない。
7月9日、ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川さんが、この世を去った。かつて日本では、ほとんど見られなかった“歌って踊れる“男性アイドル像を築き、エンターテインメントの可能性を広げ続けてきたジャニー喜多川さん。アイドルたちとの距離感は、芸能事務所の社長とタレントではなく、まさに育ての親と子ども=ジャニーズJr.だった。
自らメディアに出ることを嫌い、カメラの前に立つことはほとんどなかったにも関わらず、タレントたちが親しみを込めて呼ぶ「ジャニーさん」という愛称は、ファンの間でもすっかりおなじみに。いきなり電話がかかってきて「You、○○出ちゃいなよ」と、雑誌や舞台、テレビへと出演することになったシンデレラボーイは数知れず。エンターテイナーたるもの、どんな急な要望にも応えていかなければならない。そんな「Show must go on」を地でいくマネジメントで、多くのスターを輩出してきた。
また、KinKi Kids堂本剛が明かした、ジャニー喜多川さんから電話がかかってきたにも関わらず「You、誰?」と言われたというエピソードなど、人間味溢れるキャラクターも多くの人に愛されてきた理由のひとつだろう。いつも素朴な出で立ちで、「オーディションのときに、清掃員のおじいちゃんだと思った」と振り返るタレントも少なくない。タレントとの会話はタメ語でするようにと言い、「You」と呼ぶのは大所帯になったJr.たちの名前を間違えたくないからという配慮だとも伝えられている。
だが、ショーとなれば妥協を一切許さない厳しい面も。本番直前のゲネプロで演出がガラリと変わることも日常茶飯事だった。そして未来のスターを見抜く目、そして独特のネーミングセンスには何度も驚かされた。タレントたちの成長していく姿そのものをエンターテインメントとして昇華させたジャニー喜多川さんは、「最も多くのコンサートをプロデュースした人物」、「最も多くのナンバーワン・シングルをプロデュースした人物」、「最も多くのチャート1位を獲得した歌手をプロデュースした人物」と、ギネス・ワールド・レコーズに認定され、その名前はさらに世界へと広がっていくはずだった。