森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.158
BUMP、菅田将暉、ヤバイTシャツ屋さん……社会やメディアのなかで有機的に進化する新作
今週はBUMP OF CHICKENの約3年5カ月ぶりのフルアルバムや、あいみょん、米津玄師、志摩遼平などとのコラボレーションを実現させた菅田将暉のニューアルバムなどを紹介。その共通点は、バンド/アーティストの描き出す物語、そして、様々なクリエイターやメディアとのつながりを強く感じさせる作品であること。音楽は現在、社会やメディアのなかで有機的に絡み合いながら、まったく新しい変化を遂げようとしているのだと思う。
「アリア」「月虹」「新世界」「Aurora」など、前作『Butterflies』(2016年2月)以降に発表された楽曲をすべて収めた本作『aurora arc』は、この3年5カ月のバンドの軌跡が刻まれていると同時に——まるで最初から緻密なプロットが存在してたかのように——神話のごとき壮大なストーリーを描き出している。その要となっているのは、アルバム全体のビジョンを明確に示す1曲目のインストナンバー「aurora arc」、そして、少年期と現在の自分を照らし出す「ジャングルジム」、“君”に向けた愛情と歌を届け続ける意思を綴ったミディアムチューン「流れ星の正体」というふたつの新曲。宇宙的なスケール感と日常のなかの心の揺れを共存させた、このバンドにしか生み出せない物語をたっぷりと堪能してほしい。
1stアルバム『PLAY』のリリース以降、「ロングホープ・フィリア」「まちがいさがし」などのヒット曲を送り出し、シンガー/アーティストとして存在感を強めている菅田将暉のニューアルバム『LOVE』には、秋田ひろむ(amazarashi)、石崎ひゅーい、柴田隆浩(忘れらんねえよ)、志磨遼平(ドレスコーズ)、米津玄師、あいみょんなどが参加。菅田自身が作詞/作曲を手がけた楽曲も収録され、前作以上にディープな音楽世界を味わえる作品となった。本作のポイントは、すべての参加アーティストと菅田自身がリアルにつながっていること。“人気俳優に対し、今をときめくクリエイターが楽曲を提供した”ではなく、彼自身の興味、志向、関係性がそのまま反映されていることこそが、このアルバムの魅力なのだと思う。