欅坂46、今年の『共和国』は新たな船出に? 名場面を残してきた過去2回から考察

 欅坂46による野外ライブイベント『欅共和国2019』が、いよいよ7月5日から7日にかけて富士急ハイランド・コニファーフォレストにて開催される。2017年より毎年7月に開催され、今年で3回目。毎年様々なドラマと伝説を残してきた同イベントについて振り返り、本年度への期待を書きたい。

欅坂46『黒い羊』(通常盤)

 まずは“建国”元年となる『欅共和国2017』から。城塞を思わせる壮大なステージ、騎兵隊衣装を纏った欅坂メンバー、フラッグパフォーマンス……これらの演出は“開国”や“凱旋式”を彷彿とさせ、まさに「共和国」というコンセプトにこだわっていることがすぐにわかった。

 また、屋外ならではの演出も魅力的だった。水の多用、ジェット風船、打ち上げ花火、日が落ちてゆく自然の照明など、夏のエンターテインメントショーをこれでもかと昇華させていく。そして何よりもメンバーの楽しそうな表情が印象的だ。“私たちのパフォーマンスはどうだ。ついて来いよ”と言わんばかりにファンを楽しませにかかる。特に覚醒した平手友梨奈の表現力は凄まじい。「制服と太陽」などで見せる初々しさから一転、「不協和音」で「僕は嫌だ!」と鬼気迫る叫びを聴かせたかと思えば、悪魔に取り憑かれたような不敵な笑みを見せて観客を震撼させていく。平手の表現者としてカリスマ性や、他のアイドルにはない欅坂特有のクールな世界観は、ここから本格的に始まったのではないかと思う。

 欅坂46運営委員会委員長を務める今野義雄氏によると、”共和国”という概念は平手が提案したものだという(参考:『日経エンタテイメント!』2018年5月号)。『1stアニバーサリーライブ』(2017年4月開催/以下、アニラ)のセットリストに納得いかなかった平手が、「やるんだったら、自分もアイデアを出したい」と、コンセプトにあったストーリーを具現化したのだ(参照:『ROCKIN'ON JAPAN 2017年12月号』のインタビュー)。また、ライブ後に「みんな大好きだよ」と平手が言った瞬間、メンバーのほとんどが大号泣したというエピソードも。“理想の国”が作れたことへの満足感や、みんながついてきてくれた感謝など、平手の様々な感情が想像できる。

 『欅共和国2018』は、「びしょびしょ・ぐちゃぐちゃになる!」をテーマに、2017年の規模を遥かに超えた放水や、ダンサーとの集団行動などで大いに盛り上がりを見せた。そんななかでも大きな見せ場となったのは、欅坂とけやき坂(現:日向坂46/以下、ひらがなけやき)のイデオロギー闘争だろう。

 当時、平手の不在が続いていた欅坂。『2ndアニラ』をはじめとした様々なイベントでは平手抜きのパフォーマンスが行われた。一方ひらがなけやきは、二期生が加わっただけでなく、欅坂よりも先に武道館公演開催(『『けやき坂46日本武道館3Days公演』』)と単独アルバム(『走り出す瞬間』)をリリース。「勢いはひらがなにあり」という空気が漂うなか、『共和国』でどのようなレジスタンスをするのか期待された。しかし『共和国』開催直前にして平手が帰還。欅坂は、君主がいる本来の姿でひらがなけやきを迎え撃つ状況となった。当日、ひらがなけやきが披露した楽曲は、合同で歌う「太陽は見上げる人を選ばない」を含めわずか4曲のみだったが、明るい存在感と魂を込めたパフォーマンスでその存在感を堂々と誇示。また、欅坂も負けじと、新曲「アンビバレント」を初披露し、未だ見ぬ斬新な楽曲とパフォーマンスで先輩の意地を見せていた。

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