眉村ちあきはありのままに存在感や人気を巨大化させる 新木場コースト公演を見て

眉村ちあき、新木場コースト公演を振り返る

 独特な言語センス。ジャンルもルーツも整合性も関係なく、「曲が作れて歌えてしまう才能があった」としか言いようのないオリジナリティ溢れる音楽性。本能そのまんまのキャラクターと、数々の言動。というような「奔放で破天荒な部分」というのは、言うまでもなく表現者としての最大の武器であるが、売れていく過程においては障害になる場合もある。だから角を取ったり口当たりをやわらかくしたりして、多くの人に届けやすい形にする、つまりある程度無難にすることが必要となるわけだが、眉村ちあきのすごいところは、そのような配慮などまったく不要で、どんどんその存在が、注目度が、人気が巨大になっていっているところだ。そして、それがアーティストとしての存在理由に、必然にもなっている。自分が自分のままで世界に認められ、受け入れられ、愛されること。それが眉村ちあきの目指すところでもあるのではないだろうか。裏返すとそれは、他者を他者のままで認め、受け入れ、愛することでもある。って、大げさなことを書いている自分が恥ずかしくなってきたが、でも本当にそうだと思う、彼女のファンに対するスタンス、ファンとの関係性を見ていると。

 サブステージの柵の前に小さな女の子がいた。眉村ちあきが来るたびに、目をキラキラさせて本当にうれしそうに、ニコニコと観ていた。2時間半を超える長丁場だったのに、その女の子のキラキラとニコニコは最後まで一切曇らなかった。そのさまを見ていて、なんか泣きそうになってしまった。眉村ちあきらしいなあ、と思った。で、この勢いがさいたまスーパーアリーナのキャパにまで届くのは、予想よりも全然早くなりそうだなあ、と実感した。

(Photo:I.ITO・KOHARU)

■兵庫慎司
1968年生まれ。音楽などのライター。「リアルサウンド」「DI:GA ONLINE」「ROCKIN’ON JAPAN」「週刊SPA!」「KAMINOGE」などに寄稿中。

■セットリスト
『眉村ちあき 3rdワンマンライブ~東京湾へダイビング!~』
6月4日(火)新木場STUDIO COAST

1.東京留守電話ップ
2.ブラボー
3.メソ・ポタ・ミア
4.Queeeeeeeeeen
5.ほめられてる!
6.ナックルセンス
7.スクワットブンブン(未発売曲)
8.MCマユムラ
9.コカコ◯ラのスリッパ壊れた
10.おじさん
11.ピッコロ虫
12.荻窪選手権
13.I was born in Australia.
14.おばあちゃんがサイドスロー(未発売曲)
15.スーパーウーマンになったんだからな!
16.開国だ
17.ツクツクボウシ
18.奇跡・神の子・天才犬!
19.代々木公園

En1.書き下ろし主題歌
En2.緑のハイヒール(未発売曲)
En3.大丈夫
En4.本気のラブソング
En5.ビバ☆青春☆カメ☆トマト

眉村ちあきオフィシャルサイト

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