Clean Banditの形式に捉われない自由なライブスタイル 大所帯バンドで見せたZepp Tokyo公演

Clean Banditの自由なライブスタイル

 Clean Banditの来日公演が、5月22日にZepp Tokyoで開催された。

 Clean Banditは、グレース・チャトー(Vc)、ジャック・パターソン(Ba、Sax、Key)、ルーク・パターソン(Dr)からなるイギリス出身の3人組エレクトロユニット。昨年11月には、2ndアルバム『What Is Love?』リリースを記念して、京都の東福寺でローンチイベント『LIVE FROM KYOTO ~古都から世界へ』を開催し、今回およそ半年で再びの来日。日本のファンの期待に応える形で行われた、東京、大阪を巡る2都市3カ所の公演だ。

 Zepp Tokyoでのライブはアンコールを含め19曲、約70分。時間的には短いものであるが、『What Is Love?』の楽曲を中心としたヒット曲のオンパレードに終演後のフロアは充足感で満ち溢れていた。今回のライブは、昨年の来日の際と同様、「24 Hours」でボーカルとして参加しているヤスミン・グリーン、「We Were Just Kids」に参加しているカーステン・ジョイがゲストボーカルとして帯同。加えて、ステファニー・ベネデッティ(Vn)、サム・スキロー(Ba)からなる7人組の大所帯バンドでパフォーマンスが繰り広げられた。

 Clean Banditはこれまでデビューアルバム『New Eyes』、2ndアルバム『What Is Love?』と様々なゲストを迎えてきた。クラシックとEDMを軸にした基盤となるサウンドはあれど、その形態は1曲毎にガラッと姿を変えていく。この日、ライブの口火を切ったのは「Solo」。オリジナルバージョンでフィーチャリングしたデミ・ロバートのパートをカーステンが担当したわけだが、この楽曲を1曲目に持ってくるところに彼らの日本愛を強く感じた。「Solo」の日本版MVは、京都を舞台に祇園や八坂、京都タワー、東福寺、東寺にて撮影されている。先述したローンチイベントの開催も、MV撮影の経緯があってのものだ。舞妓がダンスを踊るシーンは、海外から見た日本の伝統文化のイメージそのもの。Kanye West「Stronger」、Ariana Grande「7 rings」など、親日家が伝わってくるMVは数多くあれど、Clean Banditは2014年にリリースし大ヒットを記録した「Rather Be」でも日本で撮影をしている。その人一倍強い日本愛は、割れんばかりの歓声と拍手、「Solo」のキャッチーなサビであっという間に一体化し応えて見せるオーディエンスが十二分に理解しているはずだ。余談だが、「Solo」は『菅田将暉のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)のジングルの一部としても使用されている。

 その後は、メロウなサウンドが印象的な「I Miss You」、富士フイルムアスタリフトホワイトのCMでも馴染み深い「Symphony」、ショーン・ポールとアン・マリーを迎えたレゲエのエッセンスが加わった「Rockabye」と配信リリースされたシングル曲を惜しみなく披露していく。中でも「Symphony」はライブ序盤に大きな盛り上がりを見せた1曲。YouTubeで21億回再生されている「Rockabye」を筆頭に、「Symphony」が8.3億回、「Solo」が6億回、「Rather Be」が5.3億回……と数字でClean Banditの偉大さを示すこともできるが、「Symphony」においては今年3月にイギリス王室一族の前で生披露している。センチなストリングスとハウストラック、カーステンの伸びやかな歌声にライブでは、ファンの大合唱が乗っていく。Clean Banditにとって「Symphony」が「Rather Be」に続く確かなアンセムに成長していることを体感した瞬間だった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる