Shuta Sueyoshiが体現した『WONDER HACK』の世界　幕張メッセを自分色に染めた夜

これでHACK完了です！

　終盤は、まるでジェットコースターのように、矢継ぎ早に展開する。「お前らの顔を見に行くからな」と、トロッコに乗って会場を回りながら歌った「Let it ride」。すぐ間近まで近づいたShutaに、観客は大興奮。新曲「With Me」も披露され、爽やかさのあるポップな楽曲に、観客も耳を傾けながらリズムに乗って聴き入った。また「Switch」では、Shuta直々に振り付けをレクチャーし、振り付けを一緒に楽しんだ。「次はすげえ可愛い曲です。だからみんなも可愛い顔く踊ってね」と、ライブのテーマでもある「HACK」を披露すると、観客は曲に合わせて笑顔でジャンプ。Shutaも「幕張好きだぞ！」と、観客に微笑みかけた。

　この日のMCは実にリラックスしていて、まるで友だちに話しかけるようなフレンドリーさが溢れていた。「可愛いキッズも増えたし、手を振ってくれて嬉しい。世代や性別に関係なく、俺のエンターテインメントで楽しんでくれて、やっていて本当に良かった。俺が好きなもの、感じていることをエンターテインメントにできたのは、みんなのおかげです。温かくて誇らしいです。本当にありがとう」と、観客にお礼を言いながら、「土地ごとにお客さんの雰囲気が違っていて面白い。ヤバかったのは、名古屋で縄跳びをしたこと」と、ツアーを振り返った。この日も“後ろはやぶさ”という技を披露し、「幕張メッセで縄跳びしたアーティストって、初めてじゃない？　伝説じゃない？」と、少年のように笑顔を輝かせた。

　ラストには「寂しい気持ちは分かるけど、ハッピーな曲だから皆でタオルを回そう。お前達と歩んできたこの時間が、オレにとってのパラダイスです」と話して、アルバム『WONDER HACK』のラストに収録した「Paradise」を歌ってライブを締めくくった。ファンのことを思って作詞したというこの曲はライブのために作った高揚感のあるナンバーで、サビでタオルを回しながら一緒に歌った観客。一体感と達成感が会場に広がり、心地よい汗と疲労感が身体に流れた。

「マジでいい景色。最高の空間。これでHACK完了です！」

　こんなHACKなら、いくらでもされたい。もっと多くの人がHACKされてほしい。そんな風に思わせてくれたステージ。Shuta Sueyoshiの頭の中に溢れるエンターテインメントは、参加した後に学校や会社で誰かに話したくなること間違いなしだ。

■榑林史章
「THE BEST☆HIT」の編集を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、これまでにインタビューした本数は、延べ4,000本以上。日本工学院専門学校ミュージックカレッジで講師も務めている。

（写真＝キセキミチコ（KISEKI inck )／KEIKO TANABE（TAMARUYA）／Yusuke Satou）