ヒプノシスマイク、1stアルバムが2位にランクイン 楽曲に詰まった型破りなまでの遊び心

参考:2019年5月6日付週間アルバムランキング(2019年4月22日~2019年4月28日)

ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 1st FULL ALBUM『Enter the Hypnosis Microphone』通常盤

 2019年5月6日付のオリコン週間アルバムランキングは1位にKis-My-Ft2『FREE HUGS!』が204,516枚でランクイン。ほか、初登場としては3位のTWICE、5位と7位のあんスタ(あんさんぶるスターズ!)、8位のEXILE ATSUSHIなどが並んでいるが、やはり注目は146,505枚を売り上げて2位につけたヒプノシスマイクの1stフルアルバムとなる『Enter the Hypnosis Microphone』だろう。Kis-My-Ft2の圧倒的な存在感に迫る勢いだ。

 というわけで、今回は『Enter the Hypnosis Microphone』をピックアップする。人気のオールスターレパートリー群に加わった新曲「Hoodstar」をはじめとして、高いクオリティの楽曲が並ぶこのアルバム。これまでのファンには作品世界のいっそうの掘り下げを、興味を持ったばかりの人たちには多角的な魅力を持つコンテンツへの入り口を提供する一枚だ。

 相変わらず楽しいコンテンツだ、と一連の楽曲を楽しみつつも、ヒプノシスマイクの魅力を音楽的に語る、というのはやはり難しいと感じる。もちろん山田一郎役の木村昴をはじめとした声優陣のラップスキルは非常に高いし、リリックもビートも作品世界に寄り添いながらヒップホップ的な遊びを取り入れていて巧みだ。しかし、「ヒップホップとしてよくできている」というようなオーセンティシティを打ち出した評価もそれはそれで疑問。その点でこのアルバムに耳を傾けると、声優がキャラクターを演じたうえでラップをする、というユニークな企画を芯からきちんと踏まえたバランス感覚が光っている。

 たとえば1曲目の「Hoodstar」は、各ディビジョンのキャラクターたちや彼らの関係性が反映されたリリックを、ころころと色合いを変えるビートがていねいに演出して飽きさせない。シブヤディビジョンのFling Posseが登場すると軽やかでトロピカルなビートになり、シンジュクの麻天狼の面々が登場すれば一転、シリアスな夜の雰囲気を匂わせるトラップ調のビートになる。キャラクターたちの姿が情景とともに目に浮かぶような仕掛けだ。ヨコハマのMAD TRIGGER CREWの新曲「シノギ(Dead Pools)」やFling Posseの「Stella」なども、アツい歌詞とディビジョンの背景を捉えたビートの相性が抜群。

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