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31stシングル『好き』インタビュー

Sonar Pocket、ラブソングを10年歌い続けて行き着いた境地「“好き”の奥にあるものを描けた」

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 昨年デビュー10周年を迎えたSonar Pocketからニューシングル『好き』が届けられた。今作の表題曲は、なんと「束縛肯定ソング」。これまで数多くの好きという気持ちを歌にしてきた彼らが、好きの裏側にある嫉妬、不安、束縛という、人の心の奥深くにまで斬り込んだ。「その人にとってのナンバーワンで、オンリーワンのラブソングになればいい」と話す彼ら。なぜ彼らは今、こうしたテーマに取り組んだのか? そこからは、10年「好き」という気持ちを歌ってきたからこその経験則と自信がうかがえた。(榑林 史章)

狭く深くその人の深層心理にタッチできる

Sonar Pocket / 好き

ーー「好き」は、すごくシンプルでストレートなバラードナンバーになりましたね。

ko-dai:10周年を迎えた上で、また新しい形を見せたいと思って、原点回帰のような、ストレートなものをリリースしようと思いました。「好き」という感情の裏にある気持ち、好きだからこそ感じてしまう、嫉妬、不安、束縛というものをテーマにした曲を作ったことがなかったので、今回チャレンジしようと思いました。一言で言えば、束縛肯定ソングです!

ーーでも嫉妬、不安、束縛というテーマは、決して誰もが共感するものではないと思うのですが。

ko-dai:以前にTwitterで、「あなたの恋愛を一言で表すなら?」という質問で、アンケートを取ったことがあって。たくさんの意見をいただいた中で、束縛、焼きもち、不安といったマイナスイメージの意見もすごく多かったんです。それも、リプライだと知り合いに見られる可能性が高くなるから、DMで送ってくれた人がけっこういて。つまり周りからは幸せそうに見えても、実は2人にしか分からないものを抱えているかもしれない。そういう、みんなが隠したいと思う部分を歌いたかったんです。自分の経験を振り返ってみても、俺は浮気されたこともあったから、また浮気されるんじゃないかという怖さから束縛をしていたことがあって。何で束縛をしたのかを改めて考えると、やっぱり相手のことが好きだからで、相手の過去を気にしていたり、自分に自信がなかったり、その人なりの理由があって。それを上手く音楽として表現したかったんです。

eyeron:束縛、嫉妬、焼きもちっていうとダサイ感じがするじゃないですか。恥ずかしいというか、束縛する男=ダサイみたいな。だから、口には出さないけど、みんな根本には持っている気持ちなんだと思います。俺はもともと束縛しないタイプだったけど、10代の時に相手によって束縛し始めてしまって、「自分にもこういう感情があったんだ!」って、気づいたことがあったし。

ーー好きという気持ちの裏側、より個人の心の奥深くに斬り込んだということでしょうか。

ko-dai:そうですね。最大公約数を導き出して、みんなに共感してもらえる音楽を作ってきたので、今はあえてそれをしなくてもいいと思いました。僕らがみんなから共感してもらえるものを作って、それを求められるようになったのが2011年あたりで、その頃はみんなまだガラケーで、SNSもまだTwitterくらいしかなかった。みんなの趣味・趣向は今ほど幅広くなく、音楽も今のような身近さではなかったと思います。それが今の時代は、いろんな種類のSNSがあり、スマホを開けばすぐに音楽が聴けるわけで。そこで最大公約数に届けるよりも、刺さる人に刺さってほしいと思ったんです。広く浅くではなく、狭くても深く。刺さる人に、深く深く刺さってくれたらいいな、と。

ーー音楽を聴く環境が、よりパーソナルなものになった。そうであるならば、音楽もより個人に向けたものがいいのではないか、と。

matty:音楽のサブスクリプションサービスでマイプレイリストを見ると、それぞれの主張が反映されていて、そこにはその人の本音みたいなものが表れていると思いました。今までは、みんなが聴いているから自分も聴くという人が多かったけど、今は、自分はこういう人間だからこういう音楽が好きなんだと、そういう選曲の仕方をしていると人が多いと思います。だからこそ、この「好き」という曲は、狭く深くその人の深層心理の部分に、ダイレクトにタッチできるんじゃないかと思いますね。

eyeron:僕もそういう時代なのかなと思います。今は、受信するだけじゃなく、SNSなどで発信することにも慣れている。昔ならこういうラブソングを出しても、聴き手は受信するだけだから、みんなに受け入れてもらえそうな曲を書くしかなかったんです。今は、誰か1人でも受信してくれさえすれば、その人が発信してコアな広がり方をすることもある。今までたくさんのラブソングを歌ってきましたけど、今回はタブーぎりぎりか、一線を越えてしまっているくらいの内容だから、僕らにとってもすごくチャレンジの曲でした。だけど、今まさにそういう状況を経験した人には深く刺さるし、その人にとってのナンバーワンで、オンリーワンのラブソングになればいいと思っています。

ko-dai:それに女性アーティストならこういうタイプの曲を書いている人はいるけど、男性アーティストではいなかった。僕らSonar Pocketは、そういうかゆいところに手の届くアーティストでいたいですから。束縛したりされている人が、この曲を聴いて話し合うきっかけになったらいいし、束縛して別れた人が聴いて「自分もこんな恋をしていたな~」と思い出にひたってくれてもいいし。

ーータイトルの「好き」という二文字が、すごくシンプルなだけに、余計に刺さりますね。

eyeron:デビュー当時に使っていた「好き」という言葉とは、意味がまったく違っていますね。例えるなら、磨かれた玉なんだと思います。10年磨かれたからこそのシンプルな「好き」だし、歌詞の内容もすごく話し合って、ふるいにかけて残った言葉だし。

matty:中身が詰まっているよね。10年かけていろいろなラブソングを作って歌ってきたからこそ、中身をここまで濃縮して詰めることができた。10年やってきたからこそ、「好き」という言葉の奥にあるものを描けたと思います。

ーーどの言葉も研ぎ澄まされている。あいまいさがなく、どこを取ってもキラーワードになりそうですね。

ko-dai:物語として書いていないので。どこでも切り取って、自分の恋愛に当てはめてもらえたらいいなと思います。

eyeron:それも、以前のSonar Pocketの曲との違いかもしれない。前はストーリー性のあるものが多かったけど、今回はストーリー展開よりも、ブロックごとの完成度を求めた感じです。

ko-dai:壮大な曲なら「愛してる」という言葉のほうが合うと思うけど、今回はより身近な曲にしたかったから「好き」と付けました。口で言って伝わるものにしたかったから、ヌキサビでは、ディレイもリバーブも消して、生の声で耳元で囁くように歌っています。

ーートラックも前半はほとんどピアノとストリングスだけで、超シンプルで潔いというか。

eyeron:ドラムはほぼ出てこないですからね。

matty:シンプルであればあるほど人に届くと思うんです。実際にライブでこの曲を演奏すると、お客さんは初めて聴く曲なのに、ちゃんと心の真ん中に刺さっているリアクションをしてくださっている。曲を聴きながら泣いてくださる方もいて。自分たちとしては、狙い通りという言い方はあれだけど、こう伝わってほしいというものがちゃんと伝わっているんだなと実感しています。ここまでシンプルにするのはチャレンジだったけど、やって良かったと思います。

ーー「好き」という気持ちを10年歌い続けてきたSonar Pocketだからこそ歌える、11年目の新たな表現「好き」の表現があるわけですね。

eyeron:同じ「好き」という言葉でも、昔のことをトレースしているわけではない。確実にアップデートしている。表現の仕方、書き方、技術は確実に上がっています。

ko-dai:ただ、束縛されて悩んでる人、束縛して悩んでる人だけじゃなくて、「束縛されなくて悩んでいる人」もいて、そこが恋愛の難しいところなんです。

ーー自分から束縛してほしいと?

ko-dai:束縛されるのは嫌だけど、まったくされないのも、それはそれで嫌だと思う人のエゴもあるんです。「本当に私のことが好きなのかな?」と、不安や疑心暗鬼に繋がります。それが恋愛だし、だから恋愛って面白いんですよね。いろんな切り口が残っているので、まだまだたくさん曲が作れそうですね。

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