BUMP OF CHICKEN、アルバム&ドームツアーに高まる期待 バンドが描く次なる“未来”とは
そんなBUMP OF CHICKENの現時点での最新曲が、今年3月に配信リリースされた「Aurora」だ。この楽曲は、ドラマ『グッドワイフ』(TBS系)の主題歌として書き下ろされたもの。〈もうきっと多分大丈夫 どこが痛いか分かったからね/自分で涙拾えたら いつか魔法に変えられる〉と始まる藤原基央(Vo/Gt)によるやわらかな歌声・歌詞。イントロから続くキラキラとしたギターリフ。一歩ずつを踏みしめるようなリズム隊のサウンド。それらは、毅然とした姿で困難に立ち向かう主人公の女性弁護士を時に包み込み、時に支えるようだ。
さらにMVも非常にドラマチックである。監督は、今作がBUMP OF CHICKENと初タッグである映像作家の林響太朗。雪原の上に倒れる仲間たちと泣き叫ぶ少女――という痛ましいオープニングシーンから、3:44でのスタートの合図のような音を機に、ナイフを手にした少女が走り出すまで。「それは、神々のなす神秘の業/彼らの心を動かしたその時/それは、姿を現す。」と冒頭で定義されたオーロラが浮かぶ景色の中、真っ暗闇の絶望、幸福だった頃の思い出、のたうち回りたくなるほどの葛藤などを女優の上原実矩が表現した。
このMVは、先述の“ニューアルバム発売&ドームツアー開催決定”のニュースとともに公開されたもの。つまり「Aurora」という楽曲は、ドラマの主人公やMVの少女、そしてリスナーである私たちに寄り添うと同時に、新たな始まりを迎えつつあるBUMP OF CHICKENというバンドのオープニングテーマのような存在であるようだ。〈その足が向かうべき先へ そうしなきゃ見えなかった未来へ〉。そう歌う彼らが描く、次なる未来とは。来る7月が楽しみだ。
■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。