日向坂46、『HINABINGO!』への期待 オードリーとの『ひらがな推し』で得た成長を振り返る
番組のプロデューサー長尾真は、『BUBKA』(5月号)で「番組がグループにとって“カタログ”になればいい」という考えを明かし、各メンバーの外仕事に繋がっていくのがベストだと語っている。だからこそ、番組側はメンバーのアイデアを積極的に採用し、結果的にそれぞれの個性が伸びているのだろう。たとえば、井口眞緒の「スナック眞緒」。普段はマシンガントークの井口だが、スナックのママというキャラを得たことで、聞き手側に回るようになり、相手の良さを引きだす才能に長けていることが判明した。また「スナック眞緒」のバイト役・宮田愛萌もしっかりとした仕切り力を見せつけ、潜在能力が発揮された印象だ。
他にも佐々木久美キャプテンの重要さや、若林にもツッコミを入れる加藤史帆のガヤ力、とにかく明るい性格の丹生の愛らしさ、もはや様式美になりつつある柿崎芽実と宮田のぶりっ子キャラ対決、『キン肉マン』回で必死に予習してきた松田好花の勤勉さ、富田鈴花のキャラ迷走というキャラ、若林ご贔屓の小坂菜緒と高本彩花など、今まで以上に彼女たちの個性が発揮され、各メンバーの存在感やグループでの立ち位置が明確にされていった。そんなメンバーのキャラを発掘していく過程が見られたのも、この番組の良さだろう。そして“カタログ”という意味で重要だったのが、アルバムや新曲のリリース時に毎週あった歌のコーナーではないだろうか。シングルデビュー前は歌番組に出る機会があまりなかった日向坂なだけに、非常に有意義なコーナーだった。しっかりと作られた豪華な歌用のセットからは、スタッフの愛情も感じられる。
1年間かけて彼女たちの個性をじっくりと発掘し、見る側に親近感を覚えさせたところで、最後の3週ではヒット祈願の駅伝企画を放送。明るく楽しいイメージの彼女たちが涙を流しながら必死に走り、いつもはあまり見られない先輩後輩の関係や助け合う姿も垣間見え、多くの視聴者が感動したはずだ。そして最終回では、追い討ちをかけるように『日向坂46 デビューカウントダウンライブ!!』の映像を放送。だが、ただ涙を誘うのではなく、日向坂ロケに同行する佐藤満春(どきどきキャンプ)のお馴染みの号泣シーンも流すというスタッフの粋な編集で、笑いの要素も入った楽しい感動に持っていくところが、この番組の優れた点であり、素晴らしい最終回だったように思う。
そんな成長した日向坂が、『BINGO』シリーズに帰ってくる。MCはまだ発表されていないが、オードリー以外と組むことで、どんなバラエティ力を見せてくれるのだろうか。先日の『NHK 沼にハマってきいてみた』(Eテレ)では、『ひらがな推し』で培ったキャラとネタで大いに番組を盛り上げていただけに、期待に胸が膨らむ。
(文=本 手)