TXTが体現する、“K-POPのトレンド”とBTSに通ずる“BigHitらしさ” デビュー作から考える
2019年デビュー組のコラムでも触れていたが、2019年3月4日、BTS(防弾少年団)の所属事務所・BigHitエンターテインメントから6年ぶりに新しい男子グループ・TOMORROW X TOGETHER(以下TXT)が、ミニアルバム『The Dream Chapter:STAR』でデビューした。
監督であるOui KimがNCT127の「Cherry Bomb」で見せたような茶目っ気のあるdoodle(手書き風)エフェクトと、全体にフィルターをかけたようなブルーとオレンジのトーンのMVが印象的なタイトル曲「CROWN」を始め、「Blue Orangeade」「Cat & Dog」「Our Summer」「Nap of a star」の5曲が収録されている。全体的に明るくライトなEDMベースではあるが、ヒップホップやR&Bの要素も含まれる爽やかな楽曲が多い。韓国のアイドル業界でゴツめのヒップホップ要素を取り入れたグループや楽曲がトレンドだった2013年、当時のアイドルトレンドをわかりやすく体現したコンセプトで現れたBTS。TXTも同様に“私服っぽい衣装”、“綺麗目なルックスとスタイル”、そして海外作曲家との共同制作で、転調が多く多様なジャンルがミクスチャーされながらも重さを感じさせない浮遊感のあるボイスエフェクトなど、“今のK-POPのトレンド”を体現していると言えるだろう。
今作は、BTSでは比較的メロウだったり、ミドルテンポの楽曲を担当することが多いSlow Rabbitが全体の作曲家やプロデュースをメインで担当している。また、ラップ担当のヨンジュンとスビンがパフォーマンスする「Cat & Dog」は、やはりBTSの楽曲でも「Cypher」シリーズなどメインではヒップホップ調トラックをプロデュースしているSupreme Boiが担当。ニッキー・ミナージュの「Nip Tuck」のプロデューサーだったJune Nawakiiも参加している。チルウェイヴのエッセンスが香る涼しげな音が遠い夏の日を想起させる「Our Summer」は、レディー・ガガとジャスティン・ティンバーレイクをフィーチャーしたTV番組『サタデー・ナイト・ライブ』のための楽曲「3-Way」や、映画『ワイルド・スピード』シリーズのOSTなどで知られるThe Futuristicsのプロデュースだ。