MONSTA X、“ワカワカ先輩”で話題の「Shoot Out」がもたらすアーティストとしての可能性

MONSTA X、アーティストとしての可能性

 “ワカワカ先輩”という言葉を知っているだろうか?

 一度聞いたらすぐに覚えてしまうほどインパクトのあるワードだが、実はこれは日韓でブレイク中のボーイズグループ・MONSTA X(モンスタエックス)に付けられたニックネームである。

 彼らが「Shoot Out」(アルバム『ARE YOU THERE? - The 2nd Album Take.1』のリードトラック)の発表に合わせて韓国での活動を再び本格化させたのが、2018年10月下旬のこと。たまたま、話題の日韓混成ガールズグループ IZ*ONE(アイズワン)の韓国デビューとも重なり、彼女たちを応援するために渡韓した日本のファンも、テレビやイベント等で「Shoot Out」を耳にする機会が多かった。

 この偶然がMONSTA Xに思わぬ幸運をもたらしたのだから、エンターテインメントの世界は面白い。IZ*ONEの日本ファンは、「Shoot Out」の歌い出しの〈Walker, walker〉を「ワカワカ」と空耳し、さらにIZ*ONEのメンバーであるチャン・ウォニョンとアン・ユジンが、MONSTA Xと同じ所属事務所の後輩ということもあって、いつの間にかMONSTA X はIZ*ONEのファンの間で“ワカワカ先輩”と呼ばれるようになる。このネーミングは程なくしてYahooトレンドにも「#ワカワカ先輩」が登場するほど注目の的に。結果的に彼らの知名度をさらに高めるための起爆剤となったのだ。

 そして2019年3月27日、本国では地上波での1位を含む音楽番組4冠を達成するほどの大ヒットを記録した「Shoot Out」の日本語バージョンが、満を持して発売される。MONSTA Xの良さがストレートに伝わるこの曲のリリースによって、日本でもハートを撃ち抜かれる(Shoot Out)リスナーが急増することだろう。

 今さらという感じがしないでもないが、MONSTA Xが人気を集める理由としてキレのいいダンスパフォーマンスがよく挙げられる。ここ数年のK-POPシーンは、テレビのオーディション番組出身のアーティストが主流になっており、2015年にデビューした彼らも例外ではない。リアリティサバイバル番組『NO.MERCY』で勝ち抜いた7人のメンバーたちは、人気アーティストやプロデューサーの厳しい審査をくぐり抜けただけあって、ダンスのレベルが他のボーイズと比べて桁違いに高い。

 男らしくワイルドでありながら、しなやかさも兼ね備えた、オリジナリティあふれるMONSTA Xのダンスは、特にライブステージで輝きを増す。それは、日本デビューからわずか3カ月後に出演した『SUMMER SONIC 2017』や、ソウル公演を皮切りにスタートし、ヨーロッパ、東南アジア、アメリカ、中南米など20都市を廻ったワールドツアー(2018年)などを通して、海外のロック&ポップスファンにも十分アピールしている。

 個性的なサウンドも見逃せない大きなポイントだ。大きな転機となったのは、2017年に本国でヒットした「DRAMARAMA」である。それまではヒップホップをベースにやんちゃなイメージを前面に出していた彼らだったが、この曲でイメージを一新。スタイリッシュなビジュアル、透明感のあるシャープなコーラスワーク、ハードなギターリフを取り入れたEDM風のアレンジなどでライバルとの差別化に成功し、以降のMONSTA Xのカラーとなった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる