欅坂46 平手友梨奈、なぜ他アーティストからも愛される? 憑依型ダンスの表現力に迫る

欅坂46×平手友梨奈

 欅坂のメッセージ性が強い新曲「黒い羊」でも、平手はセンター=主人公である。これまで以上にストーリー性が重視されている同曲の振付は、赤い彼岸花を手に舞う平手だけに限らず、メンバーひとり一人の表現力が問われている印象だ。ちなみに、赤い彼岸花の花言葉は独立、あきらめ、悲しい思い出など。球根には毒があるため、地中に潜む生物が彼岸花だけはかじらないという。つまり、彼岸花だけ他のものに避けられているということ。平手を軸に、メンバー全員がそんな「黒い羊」の世界観に没入することで、より同曲が伝えたいこと、“黒い羊(やっかい者)”の意味を深めるように思う。

 そんな「黒い羊」のMVや、歌番組でのパフォーマンスを見て、まず感じたのは欅坂というグループ自体の表現力が向上しているということ。以前までは今泉が語っていたように平手と他メンバーのダンスにはどこか“境界線”があったように感じた。しかし、「黒い羊」ではその境界線が取り払われ、全員がそれぞれの役に憑依しているように踊っている印象を受ける。現に、2月23日に発売された『BRODY』4月号で、「黒い羊」のMVを手がけた新宮良平監督は「出演者の演技はほとんどアドリブです」「みんながそうやって全力で場を作ったからこそ、平手さんがああいう表情になったのだと思いますね」とコメント。平手の表現力は他アーティストに影響を与えると同時に、グループ内にも確実に変化を生み出していると言っていいだろう。そして、そんな欅坂から平手もまた多くのものを吸収し、より感性が磨かれていっている印象だ。

(文=戸塚安友奈)

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