森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.135
THE RAMPAGE、DEAN FUJIOKA、ベボベ、女王蜂……J-POP発、世界レベルのダンスチューン
〈Party is over/それでも踊りたかった〉というアヴちゃんのイメージにぴったりなフレーズが聴こえてきた瞬間、一気に楽曲に引き込まれる。トラップ、ドラムンベース、ギターロックを有機的に混ぜ合わせたトラック、そのなかを縦横無尽、自由自在に踊りまくるボーカル、そして、全編を覆う“和”モチーフの音像など、すべてのファクターがバランスよく絡み合い、それがそのまま現在の女王蜂のモードにつながっているのだ。TVアニメ『どろろ』(TOKYO MXほか)オープニングテーマとして制作された、新シングル表題曲「火炎」はダンスミュージックとしての高い機能、歌モノとしての濃さを両立させた圧倒的な名曲。まちがいなく、女王蜂の新たな傑作として認知されることになるだろう。
TVアニメ「どろろ」 オープニング・テーマ 女王蜂「火炎」OPノンクレジット映像
2017年3月に公開した「君に届け」(flumpool)のカバーがYouTubeで1,270万再生を突破(2019年1月29日現在)。歌い手として一躍有名になり、2018年6月にミニアルバム『STAR LAND』でメジャーデビューを飾ったみやかわくんの2ndシングル表題曲「略奪」は、今年1月をもって“辞職”するぼくのりりっくのぼうよみの提供曲。ビッグバンドジャズとファンクを融合させたサウンド、カラフルな光を放つ旋律、〈君を僕だけのものにしたい〉に象徴される(「略奪」のイメージにも合致した)リリックがひとつになった高品質のポップチューンなのだが、歌詞をじっくり読み解くと、現代の社会の閉鎖性と“ここから抜けたい”という切実な思いが浮かび上がってくる。心地よいグルーヴと歌詞のディープな意味合いを共存させたボーカルも秀逸である。
みやかわくん MV 「略奪」
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。