フォーリミのステージはなぜ“常に圧倒的”なのか ファンとライブの力を全面的に信頼した攻めの姿勢

フォーリミのライブはなぜ“圧倒的”なのか

 ライブ中盤では、「days」「in out」などメジャーデビュー直後のちょっと懐かしい楽曲も披露された。当時と比べて演奏の質は明らかに向上。ツアーのたびにブラッシュアップされているというサウンド(特に低音)も迫力を増している。アレンジを大幅に変えているわけではないのだが、演奏、音質のクオリティが上がったことにより、楽曲本来のポテンシャルを上手く引き出しているのだと思う。この日はMCも絶好調。“君ら小学生か!”とツッコミたくなるような微笑ましい下ネタから、最近のアジア情勢に関することまで、様々なトピックをテンポよく繋ぎ、ライブ全体のテンションをしっかりとキープしていた。「普段着っていうか、サンダルで出て来たような感じ」(GEN)という飾らない姿も印象に残った。

 ライブ後半もエッジの効いた爆音メロコアチューンを連発し、フロア全体に熱狂を生み出したフォーリミ。ポップなキラメキをたっぷり含んだGENのボーカル、HIROKAZ、RYU-TAのギターフレーズと縦横無尽なパフォーマンス、そして、KOUHEIの爆発的にして正確無比なドラムによる4人のアンサンブルは、ツアーを重ねるごとに確実に精度を上げている。

 終盤でGENはこんなふうに語りかけた。「ワンマンに来てくれるのがいちばんうれしい。バンドをはじめて11年目、こうやって4人でステージに立って、好きな音を鳴らせるのは本当に幸せです。ふだん手紙をもらったり、Twitterなんかでいろんな意見をもらうけど、こうやって実際に目の前でみると、生のコミュニケ―ションだったり、いろんな感情があって。ここにいるときだけは“何かになろう”とか“何かしなくちゃ”という気持ちを捨てて、俺らの音楽をたっぷり浴びてほしい」

 ライブ会場に足を運んでくれるオーディエンスを全面的に信頼し、最新のフォーリミサウンドをぶつけることで、音楽を介した高純度のコミュニケーションを成立させる。ライブの本質とバンドの現在地を直接的に体感できるライブだったと思う。

(写真=Viola Kam (V'z Twinkle) )

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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