小野島大が選ぶ、2018年エレクトロニック年間ベスト10 アルバムの評価が難しい時代に

 この時期になると内外メディアとも年間ベストアルバム企画で1年を振り返るのが恒例になっているが、それで音楽シーンの1年を総括することには無理がきている。もちろん曲単位の勝負であることはダンスミュージック〜ディスコ/クラブの現場では昔から当たり前のことだが、ここ最近はアルバムで勝負する「アルバムミュージック」「リスニングミュージック」だったはずのロックや、ダンスミュージックではないエレクトロニカなどにもそうした傾向が強まっている。アルバムの数十分というサイズが、現代人のタイム感に合わなくなっているのは以前から指摘されているが、Spotifyで新譜をチェックしていると、へたするとわずか数分の楽曲であっても集中力が続かないことがあって、いろいろな意味でストリーミングサービスというインフラの普及が、音楽ライフスタイルを大きく変えていることを実感した。

 もちろんこうした変化はずいぶん前からいろんな人が実感してきたことだろうが、我々が生業としているような音楽評論の対象としては依然アルバム単位で語る傾向が圧倒的に強いので、そこは齟齬があるのだ。

 そんなわけでここに挙げた10枚が必ずしも自分にとってのエレクトロニックな音楽の1年間を表しているわけではないが、テクノやハウスのめぼしいアルバムが去年に続きほとんどなかったという事実は、仕方ないとはいえ寂しい気がする。

■小野島大
音楽評論家。 『ミュージック・マガジン』『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』『ナタリー』『週刊SPA』『CDジャーナル』などに執筆。Real Soundにて新譜キュレーション記事を連載中。facebookTwitter

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