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Mr.Childrenは渇望こそが推進力に ロックバンドとしてさらなる覚醒果たした『重力と呼吸』ツアー

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 アルバム『重力と呼吸』は、Mr.Childrenを大きく変えた。音楽的な筋力が強化され、楽曲に込められたメッセージがこれまで以上にダイレクトに響く。各メンバーのプレイヤーとしての個性が前面に押し出され、強靭なバンドグルーヴが渦巻く。そして何よりも、オーディエンスと直につながり、音楽を共有しようとする桜井和寿(Vo)の姿勢に胸を打たれた。そう、Mr.Childrenは今回のツアーによって、ロックバンドとしてのさらなる覚醒を果たしたのだと思う。

 全国アリーナツアー『Mr.Children Tour 2018−19 重力と呼吸』の終盤、横浜アリーナ公演(11月28日、29日)。ライブの臨場感を想起させる音像が印象的だった最新アルバム『重力と呼吸』を引っ提げたツアーでMr.Childrenは、26年を超える歴史のなかでも、もっともダイナミックで、もっとも生々しい音楽を届けてくれた。それはまさに“キャリアハイ”と呼ぶにふさわしいステージだった。

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桜井和寿
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 オープニングはアルバムの収録曲「SINGLES」。音源と同様、4人の音がはっきりと聴こえるサウンドとともに〈I have to go〉というフレーズが響いた瞬間、早くも大きな感動がアリーナ全体を包み込む。ステージ上部より降りてきた、大小ふたつの円形の舞台装置による、まるで東京タワーのように見えるライティングも素晴らしい。

 中川敬輔(Ba)のドープなベースラインに導かれた「Monster」がはじまると、桜井は早くも花道に進み、観客と近い場所でエモーショナルなボーカルをぶつける。イントロと同時に歓声が上がった「himawari」では観客のシンガロングが起こり、「やるぞ! ついてこい!」(桜井)というシャウトとともに放たれた「幻聴」では、鈴木英哉(JEN/Dr)が手拍子を要求し、会場全体の一体感を生み出す。“メンバー全員、バンド全体で攻めていくんだ”という強い意思がはっきりと伝わり、思わず胸が熱くなる。

 「最高の夜、最高の1日にするからね。もっともっと楽しんで!」「みなさんと僕らの出会いを祝し、この曲を贈ります」(桜井)というMCに続き、名曲「HANABI」を披露、アリーナに〈もう一回 もう一回〉という大合唱が響き渡る。さらにJENの豪快なドラムソロからはじまった「NOT FOUND」、サポートメンバーのSUNNY(Key/Cho/Gt)のクラシカルなピアノを軸にしたバラード「忘れ得ぬ人」も。アルバム『重力と呼吸』を軸にしたツアーなのだが、セットリストには新旧の楽曲がたっぷりと含まれていた。単に代表曲やレア曲をバランスよく織り交ぜているのではなく、アルバム『重力と呼吸』の精神性につながる楽曲をピックアップすることで、現在のMr.Childrenのモードを明確に示していたのだ。

 ライブ中盤では、楽曲のコンセプトと強く重なった演出も。まずは桜井、田原健一(Gt)、中川、JENが花道の上で演奏した「花 -Mémento-Mori-」では、天井から短冊形のスクリーンが下ろされ、メンバーの表情を映し出す。後半ではカラフルな花を想起させる映像を投影し、楽曲の世界観を増幅させた。さらにニューアルバムのなかでもっとも鋭利なロックナンバー「addiction」で会場の熱気を煽り、“ジャカジャカジャカ!”という田原のギターリフとともに「Dance Dance Dance」に繋げる。メンバー全員が花道を自由に動き、観客とコミュニケーションを取る姿も強く心に残った。

 紙吹雪が会場を美しく舞った「ハル」の後は、「and I love you」「しるし」を続けざまに演奏。何度もライブで披露されてきた楽曲であり、ファンの間でも人気が高いナンバーだが、ひとつひとつのフレーズが真っ直ぐに伝わってきて、これまで以上に心を揺さぶられてしまった。いまのMr.Childrenにしか実現できない、強力で圧倒的なバンドサウンドを示した『重力と呼吸』。このアルバムの制作で手にした(はずの)新たな手応えは、既存の曲に新たな息吹を吹き込むことにつながっているようだ。

      

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