ミスチル 桜井和寿、ナオト・インティライミや寺岡呼人らコラボ作品に見るボーカリストとしての信念
Mr.Childrenの桜井和寿が、12月12日に発売されたナオト・インティライミのアルバム『「7」』収録曲に「Amor y sol with 桜井和寿」として参加している。
昨年、25周年ツアーを終えたミスチル。26年目となる今年発売したアルバム『重力と呼吸』は、バンドサウンドを重視しながら、“叫び”にも似た桜井のボーカルが響く、新たなミスチルの形を提示した作品だった。一方で桜井は、ap bankの可能性を広げるために小林武史とともに結成されたBank Band、GAKU-MCとのユニット・ウカスカジーとしても活動しており、またボーカリスト・桜井和寿としても、多くのアーティストの楽曲に参加している。ナオトへの楽曲参加を機に、これまで桜井がボーカリストとして参加した作品を振り返っていきたい。
スガ シカオ「ファスナー<with 桜井和寿(Mr.Children)>」
互いにリスペクトし、友としてライバルとして、切磋琢磨し続ける間柄の桜井とスガ。ミスチルの「光の射す方へ」「未来」はスガのソリッドな詞の世界観に感化され、桜井が作詞した楽曲だという。そして、2002年リリースのアルバム『IT'S A WONDERFUL WORLD』に収録された「ファスナー」は、桜井流のエロティシズムとサディズムによって“スガ節”が注ぎ込まれた1曲。2010年に公開されたミスチルのドキュメンタリー映画『Split the Difference』では、スガをゲストボーカルに迎え「ファスナー」を披露している。その翌年、今度はスガが桜井をゲストボーカルに迎え「ファスナー」をアルバム『Sugarless II』に収録。同年開催の『ap bank fes』でも2人の共演が実現している。さらに「ファスナー」のエピソードはこれだけでは終わらない。昨年開催された『スガフェス!』でも、ミスチルのアクトにスガが飛び入りする形で「ファスナー」をパフォーマンスした。まるでスガの持ち曲のように熟成しきったその日の演奏は、シングル『himawari』のシークレットトラックとして収められた。「ファスナー」には、桜井とスガの惜しみない経緯と愛が込められている。
寺岡呼人「バトン feat.桜井和寿」
JUN SKY WALKER(S)とMr.Childrenの関係には長い歴史がある。ミスチルがデビュー前から披露していた「星になれたら」(作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿・寺岡呼人)と、シングル『Sign』収録の「妄想満月」(作詞:桜井和寿/作曲:寺岡呼人)は桜井、寺岡による共作だ。寺岡主催のイベント『Golden Circle』には、幾度となく桜井がゲストとして出演しており、2016年に開催された20回記念には「~僕と桜井和寿のメロディー~」との副題が付けられていた。家からアマチュア時代の写真を持参しスクリーンに映す寺岡と、それを見て満面の笑みを浮かべる桜井。「星になれたら」で2人がステージを駆け回る光景はイベントの風物詩になっている。
桜井が作詞を担当した寺岡の楽曲「これが僕の愉快なヒューマンライフ」「競争る為にだけ生まれた訳じゃねぇ」、松任谷由実とゆずを交えての「ミュージック」など、多くの共作がある中で、寺岡のソロ20周年の節目にアルバム名にも冠されたのが「バトン」だ。桜井、寺岡によって書かれた歌詞は、次の世代へバトンを繋ぐというメッセージが込められたもの。2016年リリースのアルバム『COLOR』には、ボーナストラックとして「バトン feat.桜井和寿」を収録。その『COLOR』に収録されていた「秘密戦隊☆ゴジュウレンジャー」が、今年発売の寺岡のアルバム『LOVE=UNLIMITED』にボーナストラック「秘密戦隊☆ゴジュウレンジャー feat.桜井和寿」として収められており、アルバムを繋ぐ桜井との“バトン”が続いている。