ナオト・インティライミとのコラボやTikTokで話題 あさぎーにょが若者から支持される理由とは?
今年2月にYouTubeにアップされた米津玄師「Lemon」のカバー動画は11月29日時点で550万回再生を突破しており、11月11日に向けて行われた江崎グリコによる『ポッキー&プリッツの日』のキャンペーン楽曲として彼女が作詞・作曲・振付けを担当した「ポッキー何本分体操」も、TikTokユーザーの間で大きなバズを生み出した。
「Lemon」の楽曲自体のパワーはもちろんあるが、視聴者からのコメントを見ると「透明感がすごい」や「癒される」など、あさぎーにょの歌声そのものに対する評価も高い。TikTokでは前述した「ポッキー何本分体操」や「投げキッス運動」と制作した楽曲がいずれもヒット。大人から子どもまで真似できるシンプルな歌詞やテンポ感、アレンジ性の高さなど、TikTokの特性やユーザーのニーズにマッチした楽曲づくりが行われている。
あさぎーにょは本当にやりたいことを実現するために大学を1年で中退し19歳で上京、そこから路上やライブハウスを中心に音楽活動を行ってきたという。そこから音楽を伝えるためのプラットフォームとしてYouTubeでの活動をスタート。映像編集もゼロから独学で行ってきたという点も驚きだが、自分の表現を実現するための行動力に加え、研鑽も怠らない姿勢からはクリエイターとして地力の強さを感じる。奇抜なビジュアルやキャラクターからは飛び道具的な印象も受けるかもしれない。しかし、丁寧に作り込まれたカバー/オリジナルソング動画やTikTokの楽曲が視聴者から支持されるのは、自身の特性をフルに活かした“DIY感”や“半歩先をいく”ような取り組みが若い世代の心を掴んでいるからだ。前述したパジャマ×音楽の“着る音楽”やスイーツ×音楽の“食べる音楽”、そして『Feat.ソニーミュージックオーディション』で披露した絵本×音楽の“読む音楽”という、新しい音楽の届け方も同様だ。それが結果的にナオト・インティライミやnoovyといったメジャーアーティストとのコラボという形でも結実している。
ファッションや食べ物、SNSなど、あらゆるカルチャーと音楽を紐付けて活動の幅を広げているあさぎーにょ。“歌手=歌”という概念をぶち壊したい、とオーディション後のインタビューで語っていたように、あさぎーにょの“わくわく”を具現化したへんてこポップはどんどん進化していくだろう。“新しい音楽の届け方”を開拓していくことによって、“サブスク”の先をいく施策で今後日本の音楽業界を盛り上げるキーマンになっていくかもしれない。
(文=泉夏音)