『Feat.ソニーミュージックオーディション』が音楽シーンに呼んだ新風 白熱の最終審査振り返る

『Feat.』が音楽シーンに呼び込んだ新風

 ソニー・ミュージックレーベルズが主催する、新機軸の音楽トレンド創出オーディション『Feat.ソニーミュージックオーディション』(以下、『Feat.』)のファイナル審査イベント『Feat.ソニーミュージックオーディション FINAL in Zepp DiverCity』が10月9日、Zepp DiverCityにて開催。

 YouTubeやニコニコ動画、最近であればTikTokといった動画配信サービス、さらにSNSやサブスクリプションサービスなど……音楽発信の多様化が進むのと比例するように様々なスタイルのアーティストが登場する現在の音楽シーン。その中でヒット作品やヒットアーティストを生み出す過程において、「インターネット上で“バズ”や“トレンド”を生み出すこと」は、年々重要性を増してきているように思う。

 そんな時勢にあわせて企画された『Feat.』は、年齢・性別・スタイルのすべてが不問という形で参加者を募集。そのため今回グランプリファイナルに残った5組のアーティスト(ドアノブロック、SUKISHA、葉山柚子、夜中出社集団、あさぎーにょ)も、バンドやシンガーソングライターをはじめ、宅録系ニート、YouTuber、コーラスグループと一癖も二癖もある個性派が集まり、各々自分の強みを活かしつつバズを意識したパフォーマンスやSNS戦略でオーディションを戦い抜いてきた。

 また、オーディションの審査も一般の人が行っており、Twitterでの反響や動画配信の再生回数などから算出された数値=音楽活動で“バズった人”が勝ちという、今のネット社会にフィットする形をとっている。グランプリ最終審査では、3カ月間のオーディション期間の獲得ポイントに加え、今回のライブパフォーマンスでのリアルタイム加点も実施。観客のスマホとステージ横に設置されたスクリーンが連動しており、観客がスマホ上の“いいね!”、“かわいい!”、“かっこいい!”ボタンを押すと、そのままスクリーンにリアクションが表示される仕組みとなっていた。

 グランプリ審査の口火を切ったのは、5人組ロックバンド・ドアノブロック。セックスフラペチーノ(Vo)を中心に置いた“世界ドン引き愉快犯バンド”というコンセプトのもと、インディーズシーンで注目を集めつつある若手バンドだ。ファイナリストの中でも“過激派”。オーディション中にセックスフラペチーノが“アダルトショップ”を開きたいという夢を語っていたり、コスプレした宇宙人軍団を引き連れてコンドームを配りながらゲリラ的に街を練り歩くなどの施策を実施。奇をてらうスタイルに注目が集まりがちだが、核となる音楽は一聴したら耳に残る独特の魅力がある。ライブで披露した「プラスチック隕石」では、軽快な四つ打ちロックから突然ボーカルがグロウルへ突入するなど、ビジュアルや楽曲のポップさから不意に顔を見せる毒気、期待を裏切り続ける展開に、観客も息を飲んでステージを見つめていた。

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