大野智、嵐とファンを思うスタンスがリーダーである所以? 38歳の誕生日を前に魅力を再検証

飄々とした横顔に秘めた類まれな演技力

 加えて特筆すべきはやはり大野の演技力だろう。2008年『魔王』(日本テレビ系)での熱演をはじめ、2010年『怪物くん』(日本テレビ系)のコミカルな演技、2012年『鍵のかかった部屋』(フジテレビ系)では感情の起伏を最小限にしつつ“防犯オタク”の榎本径を見事に演じ切った。2016年『世界一難しい恋』(日本テレビ系)では恋愛に奥手な社長・鮫島零治で初のラブコメディに挑戦。そして2017年には主演映画『忍びの国』で伊賀一の忍者・無門役に挑戦。鈴木亮平との息がつまる激しい対峙シーンをはじめ、ほとんどのアクションシーンを自身で演じ切るなど、主役として現場をけん引する姿に監督やスタッフ、共演者も感激したという。「とにかく芝居に嘘がない」「最後に大野君が見せた表情にゾクゾクした」と中村義洋監督も大野の役者としての魅力を絶賛(参考:俳優・大野智の「やる気を見せない」美学/シネマトゥデイ)。観客動員の200万人突破も素晴らしいが、今でも全国各地の映画館で“応援上映”等が開催されていることにも驚く。熱心な大野のファンの中には遠征して参加する人もおり、“役者大野智”への根強い人気をうかがわせる。

 大野は『ARASHI Anniversary Tour 5×20』のツアーパンフレットの中で、嵐としてファンと一緒の空間をたくさん作っていけたら、というような意気込みを語っている。個人よりも嵐とファンを思うスタンスこそ大野がリーダーである所以なのではないだろうか。大野を語るとき「~な人」という単純な表現はあてはまらず、いくつもの才能が複雑に絡み合いながら形成されているという印象だ。歳を重ね、次はどんな表情で私たちを驚かせてくれるのか。大野智、やはりその魅力は底が知れない。

■北村由起
ライター・エディター。出版社勤務、情報誌編集長を経てフリーに。情報誌、webマガジン、ムック等を中心に執筆。ジャニーズウオッチャー。

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