>  >  > 2018年、高まるドラマ挿入歌の存在感

ビッケブランカ『けもなれ』、宇多田ヒカル『花晴れ』……2018年、高まる“ドラマ挿入歌”の存在感

関連タグ
宇多田ヒカル
MONDO GROSSO
サンボマスター
m-flo
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 米津玄師の「Lemon」(『アンナチュラル』TBS系)を筆頭に、星野源「アイデア」(『半分、青い』NHK総合)、Uru「プロローグ」(『中学聖日記』TBS系)など、ドラマ主題歌から様々なヒット曲が続々登場した2018年。その一方で、ドラマのスパイスとして機能する“挿入歌”への注目度も増しており、時折、主題歌と同等、それ以上の存在感を放つ楽曲も増えている。本稿では、とりわけ挿入歌が印象的なドラマとアーティストを紹介したい。

宇多田ヒカル

宇多田ヒカル 『初恋』(Short Version)

 今年4月にオンエアされた『花より男子』シリーズの新章『花のち晴れ~花男 Next Season~』は、イメージソングを宇多田ヒカルが担当することで話題を呼んだ。前シーズン『花より男子2(リターンズ)』の「Flavor Of Life -Ballad Version-」に続き、同作では7thアルバム『初恋』から表題曲を提供。主人公である神楽木晴(平野紫耀/King & Prince)と江戸川音(杉咲花)、そして馳天馬(中川大志)の織りなす三角関係、初めて恋に触れた3人の瑞々しい感情を表現した。

 TBSの瀬戸口克陽プロデューサーは「切ない恋を見守っていただけないか」という思いで宇多田にオファーしたと公式コメントで発表している。シリアスなシーンで晴や音の心が揺らぐ瞬間、つかの間の静寂から絶妙なタイミングで流れる宇多田の歌声、〈うるさいほどに高鳴る胸が 勝手に走り出す足が今 確かに頬を伝う涙が 私に知らせる これが初恋と〉という核心に迫るフレーズが視聴者の胸を締め付け、切ない気持ちを掻き立ていたのが印象的だった。

ビッケブランカ

ビッケブランカ / 『まっしろ』Lyric Video (日本テレビ系ドラマ『獣になれない私たち』挿入歌)

 ドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)は、周囲への気遣いで身も心も擦り減らす深海晶(新垣結衣)と世渡り上手だが誰のことも信用しない捻くれ者の根元恒星が、本音をぶつけあい傷つきながらも、自分らしく生きようとする姿を描く物語。野木亜紀子の脚本による現実社会をリアルに描写したストーリー展開が話題となっている。

 米津玄師「Lemon」や前述した宇多田ヒカル「初恋」にも当てはまるように、「まっしろ」も流れるタイミングや登場人物の心情に寄り添う歌詞に胸を掴まれる視聴者が多いようだ。ただ、頭サビから入る「Lemon」や「初恋」とは異なり、「まっしろ」は冬を連想させる物寂しげなピアノのイントロからビッケブランカの優しい歌声が響くAメロ、〈冷たさが吹いてきた 悲しみがこみあげてきた〉というサビまでドラマチックな展開が物語をより引き立てていく。劇中のセリフと楽曲がシンクロすることで、“獣になれない”=“本音を言えない”晶や恒星をはじめ、拭いきれない苦々しい過去を抱えた登場人物たちの気持ちの機微を浮き彫りにしているようにも感じられるし、同時にやりきれない気持ちに寄り添う優しさも感じられる。

 ビッケブランカは、全体の世界観をイメージしながら「まっしろ」の制作にあたったという。ドラマとリンクする部分もある歌詞だが、全体を通して聴くと誰しもに当てはまる普遍的な情景が浮かんでくる。きっと誰しも消したい過去を抱えているだろうし、社会のしがらみに疲弊することもあるだろう。仕事や人間関係で散々な目にあった晶を癒す、唯一無二のクラフトビールのように、そんなやりきれない日々をふと忘れさせるような魅力がビッケブランカの歌にも感じられる。

      

「ビッケブランカ『けもなれ』、宇多田ヒカル『花晴れ』……2018年、高まる“ドラマ挿入歌”の存在感」のページです。の最新ニュースで音楽シーンをもっと楽しく!「リアルサウンド」は、音楽とホンネで向き合う人たちのための、音楽・アーティスト情報、作品レビューの総合サイトです。

表示切替:スマートフォン版 | パソコン版