TWICE、なぜ2度目の『紅白歌合戦』出場へ? 日本進出を成功に導いたパク・ジニョンの選択

 対する日本も同じ手法を取り入れているケースが多いものの、日本のファンの大半を占める10代の女性向けに分かりやすさ、親しみやすさを特に意識して制作しているようだ。それゆえにアーティスティックな香りは薄めに、韓国以上に明るく元気なイメージを強調する曲調が目立ち、サビは韓国の一連のヒット曲よりもソフト&メロウに響いてくる。「Candy Pop」や「Wake Me Up」などはその代表的な例だ。

TWICE「Candy Pop」Music Video
TWICE「Wake Me Up」Music Video

 このように自身の音楽的嗜好はJYPのカラーとして維持しながら、第三者が手を加えることができる“伸びしろ”を残しておくことが海外での成功につながるのだと、パク・ジニョンはある時期に確信したのではないかと思う。近年のJYPエンターテインメントは、彼が直接手掛けた曲が減っており、その代わりに契約したミュージシャンに任せた曲が急激に増えている。自分の美学が残っていれば誰が作ってもOK。あえて100%プロデュースしない。そんな割り切った考えがTWICEの成功につながったと言えよう。

 パク・ジニョンは現在、ボーイズグループでも同様の育て方を試みている。2018年に韓国でデビューしたばかりの9人組・Stray Kidsがそうだ。彼らは公開オーディション番組で選ばれており、未完成ながらも今後の成長が期待できる、という点においてもTWICEと同様である。日本へ進出するのも時間の問題だろう。JYPエンターテインメントの狙いが再び当たるのかどうか、気になるところだ。

■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。『ミュージック・マガジン』や『ジャズ批評』など専門誌を中心に寄稿。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著もいくつか。LOVE FM『Kore“an”Night』にレギュラーで出演中。

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