中居正広の司会番組に感じる奥深さ 『うたばん』時代から続く“心”とこだわり

曲紹介のこだわりに込められた中居の戦略

 「俺、そんな曲紹介されたら歌わないからね(笑)」

 自身のラジオ番組で、曲紹介についてのこだわりを感じられる一幕があった。番組中、トークを終えた中居は「歌!」とスタッフに振ったところ、スタッフが淡々と曲紹介をしたため、先述のようにスタッフの口調についてダメ出しをしていた。

 また、スタッフが「舞祭組で……」と舞祭組の楽曲を紹介しようとすると、中居が「もう舞祭組の時期終わったんじゃないの? ずいぶん前じゃん、これ出たの」と鋭く指摘した。

 恐らくだが、単純に口調についてのダメ出しでトークを展開することのほかに、これをフックに、新たに舞祭組のライブDVDが発売されたことや、番組で流す曲のタイトルを言い直すことでさりげなく宣伝をしていたのではないかと捉えることもできる。

 総じて、どの番組でも中居が発する言葉やトークの振りには思いが込められている。その場面は面白く過ぎていくのだが、振り返ったときに「ああ、実はそういう意味も兼ねているのか」と感心させられる。

 中居は自身のラジオ番組で「番組によってはゲストを際立たせるんじゃなくて、番組自体の企画を際立たせるようなこともありますし、でも自分で自分の番組で、自分が際立つことによって番組が際立つってことを考えれば自分も(目立ちに)いくときもありますし」と露出度の見極め方について、司会者ならではの難しさを感じていることを明かしていた。

 誰が観てもわかるように、楽しめるようにという中居の“心”を感じる番組には、噛めば噛むほど味が出るスルメのような奥深さがある。

■柚月裕実
Web編集者/ライター。企画、担当編集、取材・執筆してます。
日本の男性アイドルの頑張りを見ては涙する30代。
始まりはSMAP中居さん。 KAT-TUN、NEWS中心の事務所担。年中HDDの整理と原稿書きに追われています。

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